大日本住友製薬の米子会社「サノビオン・ファーマシューティカルズ」のマーク・アイウィッキ社長は26日、大阪市内で会見し、2月上旬に発売予定の統合失調症治療薬「ラツーダ」について、「高い臨床プロファイルと競争力のある価格で差別化できる」と強調。競合品と後発品がひしめく非定型抗精神病薬市場でのシェア拡大に自信を示した。上市後は、既存治療に不満足な医師、患者からの薬剤切り替えをターゲットに、専門性の高いMR336人を投入し、海外戦略製品として米国展開を本格化させる。
第一選択薬へ市場攻勢
ラツーダが参入する非定型抗精神病薬市場は158億ドル規模とされ、3%の成長を確保しているが、特に双極性障害、不安、うつ病の市場が伸長。ただ、競合が激しいものの、統合失調症治療は未だ満足度が低く、薬剤中止・切り替え率が高いことから、圧倒的なシェアを誇る製品は存在していない。
アイウィッキ氏は、「まだ市場には絶対的なアンメットニーズが存在し、新しい治療を求める声が強い」と指摘。PEARL試験をはじめ、四つの有効性確認試験データや実薬群との比較を含めた添付文書の強みを挙げ、「高い臨床プロファイルと競争力のある価格で差別化できる」とラツーダの販売に自信を示した。
既にサノビオンは、ラツーダの米国上市に向け、睡眠導入剤「ルネスタ」の販売経験に加え、専門性の高いMR336人の配備を完了。約2万2000人の精神科医に対し、他剤からの切り替えを視野に販売を拡大する方針だ。今後、競合品の後発品も登場し、激しい市場競争が予想されるが、「特許切れが近い製品はシェアを落としつつあり、競争力の高い価格で政府やマネージドケアの信頼を得られる」と強調した。
今後、大日本住友製薬は、さらに双極性障害のうつ状態を対象としたグローバル試験「PREVAIL」を進め、12年上半期の効能追加申請を予定している。さらに、11年中にも双極性障害メンテナンス、大うつ病を対象とした臨床試験も開始し、ラツーダの適応拡大を進めたい考え。現段階で14年度のピーク時売上高700億円の計画に変更はない。