厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会は19日、武田薬品工業の消炎酵素剤「ダーゼン」の再評価指定について審議し、武田薬品が自主的に行った評価試験で、有効性が認められるデータが得られなかったが、結論を保留し、継続審議扱いとなった。▽試験デザインを再検討する▽他の酵素製剤の取り扱いを踏まえる必要がある――ことが理由。年度内に開く次回会合までに、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と武田薬品が試験デザインについて調整する。
ダーゼンは、1995年に行われた再評価では、有効性が認められたが、判断材料が限られていたため、必要なデータを揃えるよう求められていた。
そのため、同社は自主的に、慢性呼吸器疾患(慢性気管支炎)患者、足関節捻挫患者を対象とした3種類の試験を実施。
慢性呼吸器疾患(慢性気管支炎)患者を対象に、「痰の切れ」を主要評価項目として行った二重盲検比較試験では、プラセボ群との間に統計学的な有意差は見られず、有効性を確認できるデータが得られなかった。
また、足関節捻挫患者を対象に、「CT画像による受傷足の足関節部断面積」「マルチスライスCTによる受傷足の足関節部断面積」を主要評価項目として行った二重盲検比較試験でも、プラセボ群との間に統計学的な有意差を認めるデータは得られなかった。
ただ、有効性に関するデータは、どのような試験デザインを設定するかによって、大きく左右されることこともあるため、PMDAと武田薬品が試験デザインを検討することとなった。
1998年には、再評価の結果、「医療上の有用性が確認できなかった」として、脳循環代謝改善薬「アバン」などの承認が取り消しとなった前例がある。