総務省が10日に公表した「2010年科学技術研究調査」によると、09年度の企業や大学の科学技術研究費の総額は、前年度比8・3%減の17兆2463億円で、2年連続の減少。減少率は、1953年の調査開始以来、最大となった。民間企業が、研究費を削減したことが要因と見られる。「医薬品製造業」も、前年度の1兆2956億円から1兆1937億円に減少した。また、第3期科学技術基本計画で定められている、▽ライフサイエンス▽環境▽情報通信▽ナノテクノロジー・材料--の重点推進4分野は、いずれも減少した。
調査は、国内の科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術振興に必要な基礎資料を得ることを目的に、毎年実施しされている。対象となったのは、約1万3400の民間企業、約1100の非営利団体・公的機関、約3600の大学など計約1万8100機関。そのうち、約88%(企業は約83%、非営利団体・公的機関と大学は約100%)が回答した。
研究費の対GDP比率は3・62%と、前年度に比べ0・18ポイント低下したが、依然として主要国の中では、最も高い水準をキープしている。ただ、08年度時点では、韓国が3・37%と迫っている。
研究主体別では、企業等が11兆9838億円、非営利団体・公的機関等が1兆7127億円、大学等が3兆5498億円となっている。前年度に比べ、大学が3・0%増加し、非営利団体・公的機関も0・5%の減少にとどまったが、全体の約7割を占める企業が、12・1%の減少となったため、研究費の大幅減につながったと見られる。
企業等の研究費を細かく見ると、「製造業」が10兆4386億円と突出して多く、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」が7250億円、「情報通信業」が5311億円と続く。
医薬品製造業も8%減
「製造業」のうち「医薬品製造業」は、1兆1937億円で前年度比7・9%の減だが、全産業に占める割合は10・0%と3番目に高い数字になっている。
研究を実施している会社の09年度の売上高に対する研究費の比率を産業分類別にみると、「学術研究、専門・技術サービス業」が27・47%と突出して高く、「製造業」は2番目の4・09%。「製造業」の中で「医薬品製造業」の売上に対する研究費比率は11・66%と最も高い。
さらに、医薬品製造業の研究費の配分を見ると、開発研究が5789億円(構成比48・5%)、応用研究が4048億円(33・9%)、基礎研究が2099億円(17・6%)となっている。
第3期科学技術基本計画の重点推進4分野である、▽ライフサイエンス▽情報通信▽環境▽ナノテクノロジー・材料――について見ると、「ライフサイエンス」が前年より1・4%、「環境」が5・6%、「情報通信」が11・5%、「ナノテクノロジー・材料」が8・4%と、いずれも減少した。
研究関係の従業者数は、今年3月31日現在、106万3200人(前年度比0・2%減)となった。職種別では、研究者が84万300人、研究事務その他の関係者が8万5400人、研究補助者が7万4800人、技能者が6万2700人となっている。