第一三共は、2013年度下半期をメドに、安全性試験等を行う袋井研究センター(袋井市)の機能を東京へ移転し、国内研究拠点を集約する。移転後に袋井研究センターは閉鎖する予定。これまで、東京の品川と葛西、袋井の3カ所に拠点を設置してきたが、探索研究の生産性を向上させるため、東京に機能を集約することにした。10日に都内で開いたR&D説明会で明らかにした。
第一三共は、中期経営計画でグローバル研究機能の確立を打ち出し、研究機能と拠点の集約化を進めてきた。グローバルでは、インドにランバクシーの新薬探索研究部門を担うRCI(第一三共ライフサイエンスリサーチセンターインディア)を設立。国内では、アスビオファーマを創薬に特化した事業へ再編し、拠点を神戸医療産業都市に集約した。
また、重点疾患領域を癌と循環代謝に集中し、新たに「癌研究所」「循環代謝研究所」を設立。ファーストインクラス(画期的新薬)に特化した研究を担う「先端医薬研究所」も立ち上げ、探索研究機能の再編を加速させてきた。
さらに今回、国内で安全性試験等を担う袋井研究センターの機能を、東京に移転することで、国内研究拠点の集約化を完了させる。
これにより、国内研究拠点は品川と葛西の2カ所となり、「第一三共」が癌・循環代謝・新規領域の低分子薬、抗体医薬開発やトランスレーショナルリサーチ、「アスビオファーマ」が炎症・再生にかかわる低分子薬やペプチド医薬の開発、「RCI」が炎症・感染症領域の低分子薬開発、「U3ファーマ」が癌領域の抗体医薬を開発するというグローバル研究機能を確立し、ファーストインクラスを目指した探索研究の生産性を向上させたい考えだ。