薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は11月29日、新薬など3品目を審議、また4品目の一変を報告、いずれも了承した。このうち、ヤンセンファーマの乾癬治療薬「ステラーラ皮下注」が新規作用機序のため、今月下旬に開催予定の薬事分科会で審議されることとなった。
審議品目
▽エンセバック皮下注用(化学及血清療法研究所が製造販売):有効成分は乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン。日本脳炎の予防を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。原体、製剤とも劇薬、生物由来製品に指定予定。
細胞培養法を用いた日本脳炎ワクチンとしては、阪大微生物病研究会のジェービックVに次いで2番目。製造販売後に重篤な副作用に関するデータ収集や、その段階的評価を行い、適正使用に努めることなどが承認条件として付された。
▽ステラーラ皮下注45mgシリンジ(ヤンセンファーマが製造販売):有効成分はウステキヌマブ(遺伝子組み換え)。既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症乾癬を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。原体、製剤とも劇薬、生物由来製品に指定予定。海外52カ国で承認されている。
完全ヒト型抗IL‐12/23p40モノクローナル抗体で、免疫を抑えて効果を発揮する。承認条件として、全例調査のほか、免疫抑制によって感染症のリスクが高くなるため、1年にわたり1500症例を目標にした、大規模な長期製造販売後調査、最長3年間の追跡調査が付された。
▽オルベスコ50μgインヘラー112吸入用、同100μgインヘラー112吸入用、同100μgインヘラー56吸入用、同200μgインヘラー56吸入用(帝人ファーマが製造販売):有効成分はシクレソニド。気管支喘息の小児用量を追加とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間の15年4月17日まで。製剤は劇薬・毒薬に該当しない。小児用量は海外16カ国で承認されている。
新たに追加したのは、100μgインヘラー56吸入用。成人は通常、100~400μgを1日1回投与するのに対し、小児用量は100~200μg。
報告品目
▽カロナール細粒20%、同細粒50%、同錠200、同錠300、同錠500、同原末(昭和薬品化工が製造販売)、コカールドライシロップ40%、同錠200mg(三和化学が製造販売)、カルジール細粒20%、同錠200(大洋薬品工業が製造販売)、アニルーメ細粒20%、同錠200mg、同錠300mg、ピリナジン末(長生堂製薬が製造販売)、ナパ(マイラン製薬が製造販売):有効成分はアセトアミノフェン。用量拡大および変形性関節症を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。公知申請品目。
▽タシグナカプセル150mg、同200mg(ノバルティスファーマが製造販売):有効成分はニロチニブ塩酸塩水和物。慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病の効能・効果を追加とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は、残余期間の19年1月20日まで。米国とスイスで承認されている。
同剤は、グリベック耐性の患者に対して用いられるものだが、ファーストラインで投与できるようにするため、効能・効果を変更した。承認条件として全例調査が付された。
▽クラビット点眼液1・5%(参天製薬が製造販売):有効成分はレボフロキサシン水和物。眼瞼炎、結膜炎、角膜炎など、眼科周術期の無菌化療法を効能・効果とする新用量医薬品。現行は0・5%製剤だが、高用量にすることで、耐性菌の出現を抑制する。海外では今年9月に米国で承認されている。
▽カレトラ配合錠(アボットジャパンが製造販売):有効成分はロピナビルとリトナビル。HIV感染症を効能・効果とする新用量医薬品。現行の1日2回投与に対し、1日1回投与で済むようにした。再審査期間は残余期間の今年12月11日まで。海外106カ国で承認されている。
公知申請、2件を保険適用
この日の部会では、2件の適応拡大について公知申請の事前評価を行い、妥当性を認めた。
これを受け厚生労働省は、同日付でこの2件を保険適用した。追加効能は次の通り。
▽エタンブトール塩酸塩(サンドのエサンブトール錠、科研製薬のエブトール錠):非結核性抗酸菌症
▽リファンピシン(第一三共のリファジンカプセル、サンドのリマクタンカプセル):非結核性抗酸菌症