厚生労働省の「審査支払機関のあり方に関する検討会」は11日、社会保険診療報酬支払基金の審査委員会に、薬剤師を委員として加えるべきとの意見で一致した。配置時期は未定で、厚労省は今後、関係各方面と調整し、法改正の必要性を含めて対応を検討する。
現在の調剤レセプトの審査体制では、国民健康保険団体連合会が薬剤師を正式な審査委員を置く一方、支払基金は非常勤の調剤報酬専門役として薬剤師が参加しているものの、調剤レセを審査委員会の合議による審査の対象としていない。この違いが、国保連と支払基金間の、審査格差の一因との指摘もある。
しかし、支払基金はレセプト電子化の進展を踏まえ、2011年度から調剤報酬について、医科・歯科との突き合わせや、複数月分をまとめて点検する縦覧審査を、新たに導入する計画で、従来の点検にとどまらない審査の必要性が増大してきた。
同日の会合では、日本薬剤師会の森昌平常務理事が「審査充実の視点から、薬剤師を明確に位置づけてもらいたい」と発言した。
医科サイドからも支持の声が上がり、日本病院会の齊藤寿一参与が「薬剤師がイーブンな立場で、科学的に検証するやり方がよい」とし、日本医師会の横倉義武副会長は「薬剤師にぜひ入っていただいて、チェックしていただくことが重要」と述べた。
これまで検討会では、日薬の山本信夫副会長が、支払基金における薬剤師審査委員の不在を問題提起し、10月末の会合で、東京都国保連の審査委員を務める日薬の永田泰造理事からヒアリングを実施した。
永田氏は、薬剤部門が調剤レセプトから配合禁忌を判断し、適応外使用については、医科と突き合わせて点検している現状を報告したほか、査定だけでなく、指導的な返戻を行う観点から、薬剤師を審査委員とする必要性を説明した。
このほか11日の会合では、国保連と支払基金の組織統合や競争促進のコスト削減効果について、厚労省で定量的な検証を実施することを確認した。