薬事・食品衛生審議会血液事業部会の献血推進調査会は9日、2009年度までの5年間で実施した献血構造改革の結果を総括すると共に、14年度までに献血率を10代で6・4%、20代で7・8%まで引き上げることを目指す「献血推進に係る新たな中期目標(献血推進2014)」をまとめた。集団献血に対する協力企業などを、09年度の4万3193社から5万社に増やし、年間の複数回献血者を98万4766人から120万人へ増やすことも盛り込んだ。年末の血液事業部会に報告する。
献血率の目標水準は、日本赤十字社の将来シミュレーション結果に基づいて決定した。日赤によると、献血率が現状のまま推移した場合、輸血用血液の需要がピークを迎える27年に、101万人の献血者不足が生じる。これを埋めるために、10代については09年度実績6・0%の献血率を0・4ポイント伸ばし、20代については同7・8%から0・6ポイント伸ばす想定だ。
献血構造改革では、10代、20代の献血者を、全体の40%まで上昇させる目標を掲げていたが、09年度で26・8%と、計画がスタートした02年度当時の33・4%を下回った。
調査会は要因として、10代、20代の人口減少を挙げた上で、「10代については、人口減少を上回る速度で献血者が減少しており、献血に触れあう機会の減少などが影響しているものと考えられる」と分析。さらに、20代が08年度に下げ止まったため、「10代への効果的な働きかけが重要な課題」との認識を示した。
そこで「献血推進2014」では、来年4月の採血基準改定で、男性の400mL全血採血の下限を、現行の18歳から17歳に拡大することや、高校の学習指導要領解説に献血に関する記載が加わったことを踏まえ、10代への介入を強化し、初回献血者を掘り起こす。高校生の大半を占める200mL献血のあり方についても、医療機関のニーズを踏まえて検討することとしている。
また、献血血液の使用状況に対する国民の認識が不十分な状況にあることから、受血者の顔が見える取り組みを進める。さらに、20代前半の献血離れを防ぐため、引き止め策も講じる。