エーザイの内藤晴夫社長は28日、都内で開いた中間決算説明会で、米国事業で利益率が向上したことに言及。「パートナー依存度が低下し、エーザイの単独販売が増加したことが最大要因」とした上で、「(アルツハイマー型認知症治療剤)アリセプトの特許切れ後、米国事業の売上は落ちるが、収益性向上の傾向はさらに強まる」と述べた。同社は、アリセプト特許切れに対応するため、米国事業体制の再構築を急ぎ、既にMRを約8%減の848人に削減。今後も自社販売体制を強化し、高収益体質を維持しながら、2012年以降の新製品ラッシュで再浮上を狙う計画だ。
エーザイは、11月に主力品のアリセプトが米国特許切れを迎える影響で、12年度までに約1050億円の売上減を予想している。特許切れ後を睨み、米国事業体制の再構築を急いでおり、既にパートナー依存度の低下に取り組み、自社単独の販売・マーケティング体制を強化。MRもプライマリケア領域を中心に削減し、1028人から848人体制に効率化して、収益性向上を加速させている。
また、8月には徐放製剤「アリセプト23mg錠」を投入。早期浸透に向け、支払側、専門医にアプローチしている。10月にはFDAから販促資料の認可も取得し、今月から本格的な販促活動を開始できることになったことで、23mg錠の価値最大化を急ぐ考えだ。
こうした取り組みを踏まえ、内藤氏は「特許切れ後に売上は落ちるが、収益性向上の傾向は衰えることはない」と強調。アリセプト特許切れの影響を高利益体質でカバーし、12年の再浮上を目指す考えを示した。