薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、新薬の薬事承認で、これまで医薬品第一部会が担当していた呼吸器官用薬、外用を除くアレルギー用薬、感覚器官用薬(炎症性疾患)や、一部の体内診断薬と放射性医薬品を、医薬品第二部会の所掌へ移すことを了承。1日付で薬事分科会規定を改正した。専門領域などを踏まえ、委員構成も見直した上で、今月末に予定する次回部会から適用する。
医薬品部会の所掌範囲の見直しは、2001年の省庁再編で薬食審が現在の形になってから初めてのこと。
改正前の規定では、第二部会が抗菌薬、化学療法剤、抗癌剤、血液製剤、生物学的製剤の5分野、第一部会がそれ以外を受け持つよう定めていた。しかし、第一部会に上がってくる品目が、第二部会に比べて多いことが常態化し、第一部会の負担が重くなってきた。そこで、専門性や品目数を考慮し、偏りを是正することになった。
呼吸器用薬を移行させたのは、主に感染症をターゲットとする点で、第二部会で審議してきた抗菌薬に類似するため。アレルギー用薬と感覚器官用薬は、いずれも自己免疫反応をコントロールする意味で近いことを踏まえた。また、診断薬と放射性医薬品については、第二部会が担当する疾患分野に該当するもののみを移し、その他は第一部会に残す。
09年度に実際に対応した案件は、第一部会が審議品目50件・報告品目21件の合計71件で、第二部会が審議品目15件・報告品目14件の合計29件と、2倍以上の開きがあった。しかし、改正後の分担を当てはめると、第一部会が審議品目41件・報告品目15件の合計56件、第二部会が審議品目24件・報告品目20件の合計44件になり、格差は縮小する。
新薬の承認審査をめぐっては、厚労省の「薬害肝炎事件の検証および再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が、4月にまとめた最終提言でも、一回の会合で多数の品目が議題に上るケースを問題視し、十分な審議時間を確保するよう求めていた。
今回の所掌見直しは、あくまで医薬品部会のみが対象で、医薬品医療機器総合機構の体制は変更しない。