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財務省理財局の向井治紀国有財産企画課長は18日、日本漢方生薬製剤協会の講演会で「財政からみた薬剤を中心とした医療」をテーマに講演。保険医療費が伸びている以上、伸びを抑制するための動きは必ず起こるとし、保険給付の制限論議では「ターゲットになりやすいのは薬だろう」と私見を述べ、OTC類似医療用医薬品の保険給付除外を例に挙げた。
向井氏は、高齢化により保険医療費がさらに伸びるため、投入する税や保険料の引き上げは避けられず、そのため歳出削減も求められ続けると説明。しかし、患者一部負担の引き上げが上限まできていることから、削減策は「保険給付の制限」や「単価の引き下げ」になると指摘した。
考えられるメニューとして、諸外国で行われている薬価制度、OTC類似医療用薬の保険給付除外、臨床検査の回数の抑制、高額療養費の負担額の引き上げなどを挙げた。
そのうち軽医療を保険から除外する論議は、「当然起こってくるだろう。何年かすれば、いくつかは外れるだろう」と予測、この場合にも薬がターゲットにされやすいとした。その理由として、例えば“かぜ”という疾患を保険適用から外すと、重症化の懸念が起きてくるが、かぜ薬ならそういう問題が生じないことを挙げ、OTC類似医療用薬が給付除外の対象となる可能性を示唆した。
薬価制度についても、ドイツやフランスの制度を例に「長い目でみれば、各国で行っている仕組みが日本へも導入される可能性が高い」と話した。保険免責制は「(削減)額は稼ぎやすい」が、患者負担の重さなどから、「最後の手段」と位置づけた。
向井氏は、1993年から97年まで主計局主査、02年から04年には主計局主計官を務め、厚生労働省や社会保障関連予算の編成、診療報酬改定に携わった経験を持つ。