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左から長坂東薬学長、臼井東京医大学長、水野工学院大学長
東京薬科大学、東京医科大学、工学院大学の3大学は17日、医薬工連携による教育・研究活動の推進に関する協定を締結した。東京薬科大学は、従来から連携活動の実績がある東京医科大学との連携を強化することで、医療現場で活躍できる薬剤師の育成を進めると共に、医薬品開発に関連する有機合成化学、高分子化学分野の研究室を有する工学院大学と連携することで、創薬のできる薬剤師の育成にも力を入れる。
協定内容は、学術研究、学部・院生の教育研究、教員の相互交流、産学官連携、地域社会との連携、災害時の協力支援、国際交流など、広範にわたる。個別には、連携活動の実績はあるが、今回の協定締結により、3大学が連携を深め、より高度な医薬工連携を構築し、相乗効果を発揮することを目指す。
東薬大と東京医大は、1992年から姉妹校関係にあり、薬学生の実務実習をはじめ、各科の医師、薬剤師との共同研究などを行ってきた。東薬大では、こうした研究・学術交流を通して、医療現場で活躍できる薬剤師の育成に注力してきた。
今回、協定を締結するに当たって、東薬大の長坂達夫学長は、「新薬開発に向け、ともに研究を進めていきたい。医薬工連携は、研究のみならず教育においても試金石になる」と語った。
工学院大の水野明哲学長も、「様々な応用化学の技術が医薬品の開発に役立つだろう」とした上で、「薬物の体内動態、薬理なども学び、化学の勉強をした方がよいということもある。教育面での連携も期待したい」と述べ、薬学と工学の連携に期待感を示した。
東薬大では、2大学と連携することで、医薬品の探索や合成、疾患の発症機序の解明、新しい診断・検査薬の開発、さらに人工臓器や再生医療にかかわる新しい材料・製剤システムに関して共同研究を進めたい考え。
東京医大は、東薬大の生命科学部や工学院大の生体医工学研究センターと連携し、研究者や病院の薬剤師などの教育、薬学の交換授業、学生実習などを行うと共に、医療用手術ロボット、人工臓器や医療用材料の開発については、工学院大と連携していく。
工学院大は、医薬品開発に向けた有機合成化学や、ものづくりには欠かせない高分子化学、錯体化学など、生物活性を調べるための生物系の研究室があり、東薬大との交流で、この分野の研究の活発化を目指していく。