中外製薬は、関節リウマチ治療薬「アクテムラ」(一般名:トシリズマブ)の全例調査結果を公表した。調査票を回収した3987例の副作用発現率は37・9%であることが分かった。抗TNFα阻害薬のインフリキシマブの28・0%、エタネルセプトの26・7%と比べて高い結果となったが、都内で開かれたアクテムラ説明会で、慶應義塾大学医学部リウマチ内科の竹内勤氏は、「約7割に生物学的製剤が前投与され、呼吸器合併症が多い重度患者が対象だったことを考えると、ほぼ同等の結果」との認識を示した。
アクテムラの国内全例調査は、2009年7月15日までに調査票が回収された関節リウマチ(RA)患者3987例で行われた。患者背景を見ると、罹病期間が10・6年、抗リウマチ薬(DMARDs)との併用率が71・8%、生物学的製剤の前投与率が68・1%、さらに呼吸器合併症を有する割合が12・8%と、重度RA患者が対象となっているのが特徴。
その結果、副作用発現率は37・9%、うち重篤な副作用の発現率は8・0%だった。抗TNFα阻害薬のインフリキシマブ、エタネルセプトに比べて高い発現率となったが、竹内氏は「アクテムラの全例調査は、重度例が多いことを考えると、副作用発現率は抗TNFα阻害薬とほぼ同等」との認識を示した。
MTX併用で効果増
一方、竹内氏は、日常診療におけるアクテムラの有効性を検討した「REACTION試験」の結果、解析を行った229例のうち、40%が6カ月後に寛解導入できたことを報告した。
特にアクテムラは、抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)との併用で効果が高まる一方、抗TNFα阻害薬の併用では有効性に差はなかったことから、竹内氏は「アクテムラの有効性は抗TNFα阻害薬の前治療に左右されない」として、「まず、MTXで臨床的活動性を抑え、身体機能が悪化する前にアクテムラでコントロールをすべき」と寛解導入に向けた戦略を示した。