厚生労働省の「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」は、九つの論点のうち「最適な治験を実施するための方策」について集中的に討論した。このうち、医薬品の特性に応じた治験の実施では、マイクロドーズ試験について生命倫理や法律家を含む研究班を設置、詳細を検討しガイダンスを公表することで合意した。研究班は近く立ち上げる予定。また、治験に関するGCPなど実務上の問題については、治験のあり方検討会で議論していくことも確認された。
会合では、前回に論点の一つとして挙げられた、「最適な治験を実施するための方策」のうち、▽医薬品の特性に応じた治験実施方法(新たな評価指標導入等)▽「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)」運用上の課題にどのようなものがあり、どのように解決すべきか””を中心的に議論した。
このうち治験の実施方法では、事務局からはマイクロドーズ試験の実施が提案された。
現在のところ、マイクロドーズ試験に関しては、国内で承認申請を目的としたイドライン等は作成されていないが、国内学会では指針作成が必要との意見もある。また、昨年末に公表された総合科学技術会議の報告書でも、マイクロドージングを含む探索的早期臨床試験について、導入に向けて欧米のような指針を早急に作るよう求められたほか、ICHにおいてもマイクロドージングに関する議論が始まっており、今年秋にはSTEP5(最終合意)到達が目標となっている。
こうした点を踏まえ事務局は、▽マイクロドーズ試験について欧米等のガイダンスで一部考え方に違いあり整理が必要▽マイクロドーズ試験は薬事法上、治験として整理する””とした上で、研究班を設置し課題とされる、▽被験者保護▽対象の範囲、投与量の設置に関する考え方▽マイクロドーズ試験を実施する前に行うべき非臨床試験の範囲””などの詳細を検討し、ガイダンスとして公表してはどうかと提案した。会合では、研究班は早々に立ち上げるとし、概ね了承された。
一方、GCP運用上の課題については、日本のGCP省令とICH”GCPに異なる規定があるほか、運用や信頼性調査のために求められる文書が多いとの指摘がなされている。こうした課題については引き続き「治験のあり方検討会」において詳細を検討することを事務局が提案、了承された。