特殊免疫研究所は、E型肝炎ウイルス(HEV)感染診断薬「イムニス IgA anti-HEV EIA」の国内承認を取得した。HEV診断薬の国内承認は初めて。11月にも販売を開始する予定。
E型肝炎は、HEVによって感染し、稀に劇症化することがあり、特に妊婦では重症化しやすいとされている。東南アジアやアフリカなど、発展途上国で流行が見られ、日本では以前、大半が輸入感染症と捉えられていたが、渡航歴のないE型急性肝炎患者も発見され、既に土着しているものと考えられている。
実際、厚生労働省E型肝炎研究班の報告によると、豚のレバーなどを生食したことによる動物由来感染が31%と一番多い。次いで輸入感染が7・9%で、輸血感染もあると推察されている。
ただ、E型肝炎は自然消失・自然治癒し、重症化することも稀であるため、表面化しているのは氷山の一角とも見られている。4類感染症で届け出義務があるが、承認された診断薬がなかったことから、届け出も一部にとどまっている可能性があり、日本での十分な疫学データもないのが現状。
診断薬が登場することで、今後、早期の診断をはじめ、適切な治療につながるものと期待されている。