ノバルティスファーマは15日、今月から自社で製造する一般用医薬品について自社販売を開始すると発表した。対象は第一三共ヘルスケアが販売していた水虫治療薬「ラミシールATシリーズ」で、昨年12月末で契約が終了したことに伴うもの。また医療用医薬品として製造販売している禁煙補助薬「ニコチネルTTS」についても、第一三共ヘルスケアと一般用に向けた共同開発を行ってきたが、今後はノバルティスファーマが単独で開発していく。会見ではこれらを含め、「ノバルティスグループが有するグローバルな主要ブランドを、日本市場にカスタマイズした形で上市させていくことで、日本における大衆薬メーカーのトップ10入りを目指したい」(菊池加奈子ノバルティスファーマOTC事業部長)など、今後は積極的にOTC事業に取り組んでいく方針が示された。
日本におけるノバルティスグループ事業会社の活動を統括するノバルティスホールディングジャパンの大橋勇郎社長は、ノバルティスとして日本のOTC市場は最重要拠点の一つでもあるとすると共に、「日本でも健康増進の観点からセルフメディケーションの重要性は今後さらに高まる。ノバルティスファーマは医療用医薬品に加え、OTC薬やワクチンなど幅広い薬物療法の選択肢を患者に提供することで、日本の医療のさらなる発展、人々の健康と豊かな生活に貢献していきたい」と述べた。
自社販売を決めた背景としては、日本のOTC市場が転換期にきていることを挙げる。急速な高齢化の中で医療経済が深刻化し、セルフメディケーションの重要性が一層増していることに加え、新たな一般用医薬品販売制度の中で、より適切な情報提供が求められる方向となった。医薬品とコンシューマーヘルスにおける世界的リーダーであるノバルティスでは、医療用・OTC等に関してグローバルブランドとしての豊富な情報、インフラを有しており、そのメリットを最大限に活用していくことを視野に入れている。
これまでOTC事業部の活動としては、禁煙補助薬(ニコチネルTTS)の医療機関向け情報提供など小規模であった。OTCルートでの事業展開に当たり、OTC事業部にOTC営業部、マーケティング部、企画管理部、開発部、人事部を新設。また人員も今年度中に約100人ほどに拡大させるなど、今回が実質的に日本のOTC市場への本格参入といえる。