エーザイは、中等度・高度アルツハイマー型認知症(AD)治療剤の高用量徐放性製剤「アリセプト錠23mg」(一般名ドネペジル塩酸塩)について、米FDAから承認を取得した。8月初旬から米国で販売を開始し、MR1300人体制でファイザーと共同販促を進める。11月にはアリセプトの米国特許切れを迎えるが、27日に現地で開いたウェブカンファレンスで、米子会社エーザイ・インクのロネル・コーツ社長兼CEOは、「2012年までのピーク時売上高で、6億ドル(約522億円)を目指す」と述べた。
アリセプト錠23mgは、既存の5mg錠、10mg錠の1日1回投与を可能にした高用量徐放性製剤。今回、中等度・高度のAD患者1467人を対象とした実薬対照比較試験で、10mg錠に比べ、有意に認知機能の改善が得られた結果をもとに承認された。
米国のAD患者は、65歳以上の約510万人に上るとされ、そのうち約360万人が中等度・高度と考えられている。また、アリセプトを処方されているAD患者の75%以上が、中等度・高度に当たることから、同社は、中等度・高度AD患者に対し、10mg錠から23mg錠への切り替えを進めることで、新たな市場機会を獲得したい考え。
コーツ氏は「低用量の10mgによる治療に比べ、中等度・高度AD患者への治療が追いついていない」と指摘。「高用量製剤の23mg錠によって、全く新しい治療選択肢を届けたい」と述べた。その上で、全AD患者の45%がターゲットになるとし、「多くのAD患者に使っていただくことで、6億ドルは必ず達成できる」と強調。「アリセプトの特許切れに向け、大きな機会を提供する23mg錠によって、フランチャイズを強化し、特許切れ後もAD患者にベネフィットを提供していきたい」と語った。
8月初旬の販売開始後は、エーザイ500人、ファイザー800人のMR1300人体制で米国における共同販促を進める。
なお、今回の承認を受け、アリセプト23mg錠については13年7月までの、3年間のデータ保護期間が付与された。