厚生労働省は、2009年「社会医療診療行為別調査結果」を公表した。薬局調剤と医科点数を合算して求めた薬剤料の比率は、前年より4・2%ポイント増え、33・2%となった。05年の28・7%から、微増と微減を繰り返し、横ばいの状態が続いていたが、一気に30%を突破した。後発品の使用状況では、薬剤種類数に占める割合は20・7%で、0・2ポイントの微増にとどまった。また、医薬分業の進展に伴い、医科入院外における院外処方率が6割を超えたことも分かった。
調査は、09年6月審査分のレセプトを対象に行ったもの。
薬剤料の比率33・2%の内訳は、入院が10・8%、入院外が40・3%。入院が前年比0・3ポイント減だったのに対し、入院外は4・1ポイント増と大幅に伸びた。このうち、投薬と注射で使用した薬剤料の割合は、4・3ポイント増の31・6%。入院9・4%、入院外38・7%だった。
厚労省は、薬剤比率上昇の要因について、「明確になっていない。様々な要因が絡んでおり、今後の動向を注視していきたい」とした。ただ、「結果を分析してみて分かったこと」として、▽薬剤料の比率の分母である総点数が対前年比3・65%のマイナスだったのに対し、分子の薬剤点数は7・29%のプラスとなり、分母の総点数が減った以上に、分子の薬剤点数が増加した▽7・29%の増加分の約9割を薬局調剤が占めていた▽薬局調剤は、血圧降下剤、高脂血症用剤、アレルギー用薬、院内処方では、抗腫瘍用薬、高脂血症用剤が伸びたことが薬剤料の増加に寄与している――などのデータを示した。
薬効分類別の薬剤使用状況については、入院では抗生物質製剤が15・9%で最も多く、生物学的製剤11・1%、中枢神経系用薬10・9%と続く。院内、院外それぞれに、循環器官用薬が23・8%、26・1%で最も多く、4分の1を占めている。
院内処方では、その他代謝性医薬品10・5%、中枢神経系用薬9・5%が多い。院外処方は、中枢神経系用薬11・2%、消化管用薬9・0%と続く。
後発品の数量ベースは20・7%で、薬価本調査の20・2%と近い数値になっている。政府は、12年度までに数量ベース30%を目指しているが、あと2年で約10%の差を埋めなければならないことになる。
院外処方率6割超える
医科入院外における院外処方率は、総数で62・0%(前年比べ2・8ポイント増)となり、60%を超えた。病院・診療所別では、病院が70・0%で前年より0・05ポイントの微増にとどまったのに対し、診療所は4・0ポイント大幅な伸びを示し59・0%となった。医薬分業の進展に伴い、院外処方率が増加傾向にあることがうかがえる。
薬局における調剤行為の状況は、1件当たり点数が1032・1点で、前年に比べ2・0%増。処方せん受付1回当たり点数は771・6点で40・3点増えた。調剤行為別では、薬剤料が571・2点で最も高く、調剤技術料164・0点、薬学管理料35・6点と続く。また、1件当たり受付回数は1・34回で、前年より0・05回減っている。