厚生労働省の先進医療専門家会議は12日、新たな先進医療として「インターロイキン(IL)‐28Bの遺伝子型測定によるインターフェロン(IFN)治療効果予測」と、高度医療の「脂肪萎縮症に対するレプチン補充療法」「残存聴力活用型人工内耳挿入術」の3件を保険診療と併用することを了承した。
遺伝子測定によるIFN治療効果予測は、染色体にあるIL‐28B領域の遺伝子多型を測定し、C型慢性肝炎の標準治療となっている、IFN+リバビリン併用療法に対する感受性や抵抗性の有無を事前確認する技術。
現在、C型肝炎の約6割を占める、高ウイルス量のセログループ1型の場合、根治は約半数で、全く効かない症例も2割程度ある。ウイルス、薬剤、患者側因子を調べ、治療効果を予測する技術は多数あり、従来の的中率は約50%だったが、今回の技術は80~90%の高精度で治療効果を予測できるという。
同技術の実施には、消化器内科または肝臓内科を有し、肝臓専門医や臨床遺伝専門医が責任医師となることなどが必要で、薬剤師か臨床検査技師の配置も要件になっている。遺伝カウンセリングの実施体制や、検体の品質管理体制を有することも求められる。費用は約2万2000円。
高度医療となっているレプチン補充療法は、京都大学病院が実施。metreleptinを1日1回の自己注射で皮下投与して、脂肪萎縮症に対する長期安全性と臨床効果を確認する。脂肪萎縮症は、脂肪組織が消失すると共にインスリン抵抗性が生じ、高血糖、高インスリン血症、高中性脂肪血症、非アルコール性脂肪肝などの代謝異常を発症する疾患。費用は約11万1000円だが、試験薬であるmetreleptinは企業が無償提供する。
残存聴力活用型人工内耳挿入術は、信州大学病院が実施。高音急墜または漸傾型の聴力を示す両側性感音難聴を対象とした技術。現在の保険診療では、同症状に有効な治療法はない。費用は約311万2000円だが、患者負担は約8万2000円で、差額は企業が負担する。