第一三共は、創薬ベンチャー「イミュノフロンティア」と、治療用癌ワクチン「CHP‐NY‐ESO‐1」に関する契約を締結した。契約により第一三共は、イミュノフロンティアが開発中の「CHP‐NY‐ESO‐1」について、ライセンス契約に向けて独占的な評価・交渉を行う権利を獲得した。第一三共はイミュノフロンティアに出資し、「CHP‐NY‐ESO‐1」の開発を進める方針。
「CHP‐NY‐ESO‐1」は、コレステロール疎水化プルラン「CHP」に、抗原蛋白質「NY‐ESO‐1」を付加した癌ワクチン。通常、抗原蛋白質のままで免疫を行うと、ヘルパーT細胞のみを活性化するワクチンとなるが、同社はキラーT細胞とヘルパーT細胞の両方を活性化できるCHP‐蛋白質複合体技術を開発した。CHPと「NY‐ESO‐1」と組み合わせることで、高い免疫誘導が期待されており、現在、国内では食道癌を対象とした第I相試験段階にある。7月には、米国でIND申請を行う予定。
癌ワクチンの開発を進めるイミュノフロンティアは、「CHP‐NY‐ESO‐1」のほか、癌精巣抗原蛋白質「MAGE‐A4」とCHPを組み合わせた「CHP‐MAGE‐A4」の実用化も目指しており、現在、非小細胞性肺癌を対象に臨床研究を行っている。