剤界統一候補として、第22回参議院選挙に比例区から出馬した藤井もとゆき氏(自民)が、2期目の当選を果たした。選挙は11日に投票、即日開票され、大勢は同日中に決したものの、藤井氏ら比例区の当選者が固まったのは、翌12日未明のこと。当確の報を聞いて選挙事務所へ駆けつけた藤井氏は、これまでの支援に感謝の意を表すと共に、「国政ではやり残したことがたくさんある。一つひとつ、着実に実行していくことを改めて約束する」と決意を述べた。
藤井氏以外の薬剤師候補は、残念ながら全員落選した。
藤井氏は9年前の参院選で初当選し、在任6年間には薬学教育6年制の実現などに尽力した。しかし、改選を迎えた3年前は自民党に激しい逆風が吹き、藤井氏もあおりを食って苦杯をなめた。そのリターンマッチとなった今回、自民党内のランクも1ケタの高位で当選し、見事にリベンジを果たした。
藤井氏はあいさつで、「前の6年間にやり残したことは多い」としたが、その具体的な内容について記者団に、[1]薬学教育6年制を実現させたが、その1期生はまだ5年生であり、今後を見届ける必要がある[2]薬剤師には、薬の専門家として自覚を持って仕事をしてもらうと同時に、それで薬局経営がしっかり成り立つようにしなければならない[3]安全・安心の前提となる医療、介護、福祉の仕組みにはまだ不十分な部分が多く、改善を図っていく必要があるが、特に医療保険と介護保険の整合性については、意見を出していきたい――などと語った。
また、児玉孝選挙対策本部長は、「今回は全員による勝利であり、非常に大きな意義がある。特に若いエネルギーが支えたことは、薬剤師の将来に結びつく」。松本純衆議院議員は「政権交代という激しい動きの中にあって、一直線に藤井氏を支援してもらえたことに対し、自民党の副幹事長としてお礼申し上げたい」と語った。
支援者たちの長い夜
藤井もとゆき氏は、第22回参議院選挙で見事当選を果たしたが、選挙事務所へ詰めかけた支援者たちにとっては、長い夜となった。
支援者が事務所へ集まり始めたのは、11日午後7時頃から。「出口調査では自民党内のランクで5位」といった事前情報もあり、最初は楽観ムードが支配していた。
それを裏付けるように、日が代わった12日の午前1時半頃には、朝日系のネット速報で、藤井氏に当確マークが打たれ、100人近い支援者から歓声が上がった。とはいえ、過去には誤って当確を打ってしまったケースもあり、朝日系1社だけでは安心できないとし、NHKの当確が出るのを待ってから、藤井氏に事務所へ来てもらうことにした。
NHKテレビが午前2時半頃に、初めて比例区の開票状況を伝える。藤井氏は自民党の9位にランクされたものの、当確は出されないまま。だが、支援者には落胆の気配はなく、むしろ余裕の表情さえうかがえた。
朝日系が当確を出してから2時間あまり、3時半を過ぎてもNHKからは当確が出されない。さすがに「早く決めろよ」という声もあがるなど、支援者の中にもやや苛立ちの色が見え始めた。
そしてクライマックスは朝の4時12分、ついにNHKテレビのテロップに、「藤井もとゆき氏・当確」の文字が躍る。支援者の間からは拍手、歓声の渦、健闘を称え合って握手する姿、さらに嬉しさのあまりすすり泣く声まで聞かれた。こうして長い夜が終わりを告げた。