薬事・食品衛生審議会の薬事分科会は昨年12月26日、新医薬品のパーキンソン病治療薬「コムタン錠100mg」、インフルエンザ菌b型ワクチン「アクトヒブ」の2品目を審議、いずれも承認して差し支えないとの結論に至った。このほか、2006年10月、11月に医薬品第一部会、第二部会で審議・了承された品目も報告された。これら新医薬品は今月下旬には正式に承認される見通し。
コムタン錠100mg(ノバルティス・ファーマが製造販売)はエンタカポンを有効成分とする新有効成分含有医薬品。レボドパ・カルビドパまたはレボドパ・塩酸ベンセラジドとの併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善が効能・効果。
パーキンソン病で産生が減少しているドパミンの代替となるレボドパは、脳に到達する前に、末梢で大部分が代謝されるが、同剤との併用でレボドパの効果が高くなる。海外では、200mgが使用されるが、副作用の発現が増えることから、日本では100mgで承認された。なお、症状によっては1回200mg投与が可能。再審査期間は6年で、原体・製剤とも毒劇物には該当しない。
アクトヒブ(サノフィパスツール第一ワクチンが輸入)は、重症率が高い乳幼児の病気、細菌性髄膜炎の主原因であるインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンで、有効成分は破傷風トキソイド結合インフルエンザ菌b型多糖。推定患者数は600人程度とされる。
製造過程でウシ成分(フランス産ウシの肝臓及び肺由来成分、ヨーロッパ産ウシの乳由来成分、米国産ウシの血液及び心臓由来成分)を使っているが、リスクベネフィットを評価し、承認することになったもの。リスクについては限りなく低いものの、完全にリスクがないとは言いきれないことから、使用に当たっては、予防接種実施規則を準拠し、接種前に問診を行うこととしているほか、企業側も、保護者向けの説明文書を作成するなどし、リスクについて説明することとなっている。再審査期間は6年で、原体・製剤とも劇物に指定し、生物由来製品にも該当する。
このほか、報告された品目は次の通り。
◇セレコックス錠100mg、同200mg(原体はファイザーが輸入、アステラス製薬が製造販売):成分名=セレコキシブ。効能・効果=関節リウマチ、変形性関節症の消炎・鎮痛。
◇ギャバロン髄注0・005%、同0・05%、同0・2%(第一製薬が製造販売):バクロフェン。脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺(既存治療で効果不十分な場合に限定)に対する小児用量の追加。
◇アンカロン注150(サノフィ・アベンティスが製造販売):塩酸アミオダロン。生命に危険のある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)で、難治性かつ緊急を要する場合。
◇コペガス錠200mg(中外製薬が製造販売)、ペガシス皮下注90μg、同180μg(同):リバビリンとペグインターフェロンアルファ‐2a(遺伝子組み換え)。セログループ1で、HCV‐RNA量が高値、またはIFN単独療法で無効、あるいは再燃したC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善。
◇ソマバート皮下注用10mg、同15mg、同20mg(ファイザーが輸入):ペグビソマント(遺伝子組み換え)。先端巨大症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合や施行が困難な場合)のIGF‐I(ソマトメジン‐C)の分泌過剰状態、および諸症状の改善。
◇レミケード点滴静注用100(田辺製薬が輸入):インフリキシマブ(遺伝子組み換え)。既存の治療に効果不十分なベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎の追加。
◇ミレーナ52mg(日本シエーリングが輸入):レボノルゲストレル。避妊。
◇モディオダール、同錠100mg(アルフレッサファーマが輸入、製造):モダフィニル。ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気。
◇サーティカン錠0・25mg、同0・5mg、同0・75mg(ノバルティス・ファーマが製造販売):エベロリムス。心移植における拒絶反応の抑制。
◇フォリスチム注50、同75(日本オルガノンが製造販売):フォリトロピンベータ(遺伝子組み換え)。視床下部―下垂体機能障害に伴う無排卵および希発排卵における排卵誘発の追加。
◇プログラフカプセル0・5mg、同1mg(アステラス製薬が製造販売):タクロリムス水和物。ループス腎炎(ステロイド剤の投与が、効果不十分や副作用により困難な場合)の追加。
◇フルダラ錠10mg(日本シエーリングが輸入):リン酸フルダラビン。低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫。
◇パリエット錠10mg(成分名ラベプラゾールナトリウム、エーザイが製造)、パセトシンカプセル、同細粒、同錠250(成分名アモキシシリン、協和発酵が製造)、アモペニキシンカプセル250(成分名アモキシシリン、ニプロファーマが輸入)、サワシリンカプセル、同細粒、同錠250(成分名アモキシシリン、アステラス製薬が製造販売)、クラリス錠200(成分名クラリスロマイシン、大正製薬が製造)、クラリシッド錠200mg(成分名クラリスロマイシン、アボットジャパンが製造):ヘリコバクター・ピロリに対する3剤併用除菌療法。
◇リレンザ(グラクソ・スミスクラインが製造販売):ザナミビル水和物。予防の効能追加。
◇ファンガード点滴用50mg、同75mg、同25mg(アステラス製薬が製造販売):ミカファンギンナトリウム。造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症およびカンジダ症の予防。
◇アリムタ注射用500mg(日本イーライリリーが製造販売)、ランダ注(日本化薬が製造販売)、ブリプラチン注(ブリストル製薬が製造販売)、プラトシン注10、同注25、同注50(ファイザーが製造販売)、シスプラチン注「マルコ」(マルコ製薬が製造販売)、シスプラメルク注射液0・05%(メルク製薬が製造販売)、シスプラチン注10mg「日医工」、同25mg「日医工」、同50mg「日医工」(日医工が製造販売):有効成分は「アリムタ」がペメトレキセドナトリウム水和物、「ランダ」以下がシスプラチン。悪性胸膜中皮腫。
◇ドキシル注20mg(ヤンセンファーマが製造販売):塩酸ドキソルビシン。エイズ関連カポジ肉腫。