沢井製薬の澤井光郎社長は6月29日、都内で記者会見し、バイオ後続品の参入を「避けて通れない」との認識を示し、純度の高い“バイオベター”の上市で先行していく方針を明らかにした。ただ、「まだ(バイオ後続品を)、どう売っていくのか結論は出ていない」と述べ、「販売体制の構築が最大のポイントになる。提携も選択肢の一つ」との考えを示した。
低分子のジェネリック医薬品(GE薬)は、2012年以降にピークを迎えることから、次世代GE薬の主役として、バイオ後続品が注目を集めている。澤井氏は「バイオ後続品への参入は避けられない」との認識を示しながらも、「新薬に近い領域で、多額の開発コストが必要になる」と課題を指摘。「日本では低分子GE薬でさえシェアが低い状況の中で、バイオ後続品がどれだけ受け入れられるか」と慎重姿勢を示した。
実際、GE薬のシェアが高い欧米でも、バイオ後続品の売上高は伸びていないとされるが、澤井氏は「発売しても売れなければ意味がない」と強調。「いかにバイオ後続品を売る体制に持っていくかの結論は出ていないが、上市する場合は1番手を目指したい」と方向性を語り、同じ成分のバイオ後続品でも、純度の高いバイオベターに焦点を当て、付加価値製品を手がけていく考えを明らかにした。
ただ、バイオ後続品の研究開発には50~100億円が必要とされる中、国内GE薬メーカー最大級とされる同社の研究開発費でも、年間45億円。複数のバイオ後続品を開発する余力は残されていない。澤井氏も「いくつもバイオ後続品を手がけるのは難しい。品目を絞って慎重に対応したい」と述べた。
今後、バイオ後続品を手がけるに当たって、澤井氏は「いかに売れる販売体制を構築できるかが最大のポイント」と課題を挙げ、そのためには提携も選択肢の一つとした。