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日本製薬工業協会は10日、都内で総会を開き、2007年度事業方針を決めた。政府の経済成長戦略で医薬品産業の国際競争力強化が打ち出されたのを受け、産業政策への提言活動を強化するのが柱。薬価制度の見直しでは「新たな薬剤給付制度と薬価制度」を調査研究すると表明。それに基づく政策提言を行い、関係者への働きかけを強化する方針を打ち出した。これまで同制度の調査研究は医薬産業政策研究所が中心に行っていたが、今回は製薬協主導で行う。また、今後、政府部内に設置される「官民対話の場」を通じた政策提言に取り組むことも盛り込んだ。
事業方針をまとめるに当たっての市場環境として、「イノベーション」(技術革新)を軸とした政府戦略による後押しが期待できる一方で、薬価引き下げによる国内市場の低迷、日本市場の国際的地位の相対的低下を挙げた。
その上で「長年の懸案である価値に見合った薬価制度については、イノベーション推進の方向、薬剤費の効率化と適正化の動きなどに合わせて、医療費と薬剤費財源の適正な再配分の観点に立った対応が必要である」とした。個々の製薬企業も、医療費抑制圧力、ジェネリック薬の使用促進、研究開発費の増大と新薬創出の低下などから「将来の事業戦略の選択を迫られている」と指摘した。
そこで製薬協は、方針の柱となっている産業政策提言活動の強化では、新たに官民対話の場を通じた政策提言とその実現を目指すことを盛り込んだ。また、「価値に見合った薬価を目指して、新たな薬剤給付制度と薬価制度の調査研究及びそれに基づく政策提言などの活動と関係者の働きかけを強化する」とし、制度の改善ではなく、新たな仕組みを検討することを打ち出した。
治験・臨床研究体制の整備については、新たな治験活性化計画の着実な実施とフォローのほか、「コストを含めた国際競争力の獲得や、臨床研究を含めた基盤整備と制度改善について、関係省庁その他関係者と協議し積極的に提言する」方針を示した。
また、焦点の国際共同開発・アジア共同開発については、その推進のため「各国規制当局をはじめ関係団体との協議を通じて、承認審査のあり方など規制を含め条件と環境整備のための政策提言を行う」とした。承認審査体制も治験相談を含め「抜本的改善と整備」も求めていく。
国際活動では、アジア地域でのニセ薬問題にIFPMA、WHOと協力して取り組むことを表明した。