民主、国民新両党による菅連立内閣が8日夜に発足し、厚生労働相には長妻昭氏が再任された。初登庁後に会見した長妻厚労相は、菅直人首相が目指す社会保障の強化に向け、「少子高齢社会の日本モデル」に取り組んでいく考えを表明した。また、社会保障費の負担のあり方についても言及。「単純に税制改革をし、消費税を上げようというのでは理解が得られない」とし、省内事業仕分けなどで、予算や行政の無駄を徹底的に排除した上で、消費税の増税を含めた必要な財源を国民に求めていく考えを示した。
会見で長妻厚労相は、新たな高齢者医療制度の創設をはじめ、国民が安心できる医療・介護サービス、食の安全など、厚労行政全般にわたる課題について菅首相から指示があったと説明し、これらの課題に積極的に取り組む姿勢を示した。
その上で、先進国の中でいち早く日本が少子高齢社会に突入したことに触れ、「世界に誇ることができる、少子高齢社会の日本モデルの確立に取り組んでいきたい」との意気込みを示した。今後、有識者が1年かけ検討していく。
社会保障財源の安定化で不可欠とされる消費税の増税については、否定しなかった。長妻厚労相は、その前段として、各省庁の中で予算額が大きい厚労省が、省内事業仕分けに徹底的に取り組み、少子高齢社会というビジョンを示さなければ、「国民の理解は得られない」と指摘。
国民が、消費税を含めた税制改革による負担増を受け入れるかどうかは、「明日からの政府全体の行動にかかっている」と述べた。
また、ドラッグラグの問題についても言及。医薬品・医療機器をはじめ、ワクチン開発などにおいて、国内メーカーと海外メーカーとでは「かなり差がついている」との認識を示した上で、「悩ましいのは推進、推進でいくと、安全性が疎かになること」と述べ、承認審査を単に迅速化することの弊害を指摘した。
その上で、「過度な承認申請手続きや、いつ承認されるのか分からないような不透明さというのは是正すべきと感じている」との考えを示した。