日本薬剤師会会長 中西 敏夫
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四十余年にわたり実現に取り組んでまいりました薬学教育6年制については、2004年の法改正を受けて、06年度の新入生から6年制による薬剤師養成教育がスタートを切りました。都道府県薬剤師会と連携しながらその準備を進めてまいりました薬学生の長期実務実習に向けた受け入れ態勢整備については、本年はより現実的な対応と実効性ある施策を講ずる所存であります。
厚生労働省の検討部会での2年に及ぶ検討の結果、昨年6月に薬事法の改正が行われ、医薬品販売制度における薬剤師の役割が一層明確にされました。施行は一部を除き09年4月頃と予想されますが改正法の趣旨の徹底と期待される薬剤師業務の確立に向けて努力すると同時に、セルフメディケーションの中で果たす一般用医薬品の役割にも視野を広げ、地域での医薬品供給体制の一層の充実に努めてまいります。
また、昨年改正された医療法では薬局が初めて医療提供施設として法的に明文化されました。医療提供施設として規定されたことは地域における施設間連携を通じて、名実ともに薬局が医療に貢献する第一歩を踏み出す画期的なものと考えています。新たな法律に基づく地域医療計画の見直しへの対応も含め、都道府県薬剤師会と連携を密にして、薬局がその役割を十分に発揮できるよう対策を講じてまいります。
さて、昨年末横浜でFAPA(アジア薬剤師会連合)学術大会を日本では26年ぶりに開催いたしましたが、4日間の会期を通じてアジアにおけるわが国の薬剤師の存在感を十分に発揮することができました。これもひとえに関係各位より寄せられたご支援の賜と厚くお礼を申し上げます。
取り巻く環境は年を追って厳しくなり、問題も山積しておりますが、国民への安全で有効な医薬品の提供を通じて、医療・保険・福祉にさらに貢献すべく、薬局・薬剤師の業務の充実を図ってまいる所存であります。本年も皆様がますますご繁栄されますことを祈念申し上げますと共に、旧年同様、本会事業にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、新年のごあいさつと致します。