国立成育医療研究センターの浅原弘嗣氏らの研究グループは、筋肉と骨を結合する腱の分化や成熟を制御する遺伝子を突き止めた。アキレス腱断裂などの腱の損傷の治療やエーラスダンロス症候群などの腱の先天性疾患の原因解明などに役立つことが期待される。25日付け米国科学アカデミー紀要(PNAS)誌のオンライン版で発表した。
研究グループは、独自開発した世界最大級の遺伝子発現のデータベースを使って、マウス胚で腱が作られる際に作動する遺伝子を分析した。その結果、Mkx遺伝子が腱の細胞のみで作動していることや、マウスのMkx遺伝子を破壊すると腱の成熟が途中で止まり、腱の弱いマウスが産まれることを見出した。また、Mkx遺伝子が腱の主な成分であるタイプIコラーゲンを作る作用があることも分かった。
Mkxは、遺伝子発現のスイッチとして中心的な役割を果たす転写因子で、腱に特有の転写因子が同定されたことで、腱に関係する疾患の病態解析や、治療薬の開発が進む可能性が出てきた。