日本薬剤師会は、「薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック2010年版」を公表した。世界ドーピング防止機構(WADA)が毎年更新する、世界ドーピング防止規定と禁止表に合わせて作成したもの。使用すべきでない医薬品と使用可能な医薬品の成分名・販売名を、医療用と一般用に分け、それぞれの具体例を紹介しているほか、WADA禁止表の変更ポイントについて説明している。
日薬では毎年、WADAの禁止規定と禁止表の更新に合わせ、薬剤師向けにガイドブックを作成している。今回で7年目。スポーツ選手が市販薬を服用するなどして起こる、「うっかりドーピング」を防ぐことが目的。
使用すべきでない医薬品はWADAの禁止表に従い、▽蛋白同化薬▽β2作用薬▽麻薬▽糖質コルチコイド--など11物質を明示し、具体的な成分名と販売名を掲載している。
このうち、一般用医薬品については、特に気をつけるべきものとして、▽胃腸薬▽滋養強壮薬▽毛髪・体毛用薬▽鎮咳去痰薬--などを例に挙げ、該当する製品を紹介。また、健康食品とサプリメントに関しては、食品であるため製造・販売規制が厳しくないと指摘、成分表示に信頼できないものがあるとし、注意するよう呼びかけている。
使用可能な医薬品についても、成分名と販売名の具体例を掲載。一般用医薬品は、▽解熱鎮痛薬▽総合感冒薬▽目薬▽胃腸薬--など19項目に、医療用医薬品は、▽血圧降下薬▽糖尿病用薬▽抗菌薬・抗生物質▽皮膚外用薬--など37項目にそれぞれ分類し、具体例を紹介している。
ガイドラインではこのほか、日本アンチ・ドーピング機構が作成した、「ドーピング防止Q&A」などが掲載されている。
日薬では、ガイドブックを各都道府県薬剤師会に無償配布したほか、全文を会員向けホームページに掲載する。希望者には個別販売も行う。