厚生労働省医薬食品局安全対策課は21日、B細胞性非ホジキンリンパ腫治療薬「リツキシマブ(遺伝子組み換え)」(販売名:リツキサン注10mg/mL、発売元は中外製薬)の投与で、B型肝炎が増悪することを公表。企業に対して、添付文書の「警告」「重大な副作用」等の改訂を指示すると共に、医薬関係者へ速やかに適正使用情報を提供するよう指示した。中外製薬は同日、ホームページでブルーレターを掲載し、医療関係者等に注意を喚起している。
同製品は、2001年9月に発売されたが、04年7月に米国でB型肝炎再燃の警告が発せられ、日本でも同年11月に国内の副作用発生状況や米国の措置を踏まえ、「使用上の注意」の改訂を指示、重大な基本的注意・重大な副作用でB型肝炎ウイルス感染患者への投与に注意を喚起していた。
しかしその後、今月11日までに企業から、新たにB型肝炎の増悪等18例の副作用報告がり、そのうち劇症肝炎9例、死亡8例があったことから、厚労省は今回の緊急対応を企業に指示した。
今回の措置は、添付文書にB型肝炎ウイルスキャリアの患者への投与に対し、「警告」欄に劇症肝炎や肝炎増悪、肝不全による死亡例が報告されていることを追記、「重要な基本的事項」として、治療期間中・治療終了後も継続してモニタリングを行うなど十分な観察を行うことや、HBs抗原陰性患者でも劇症肝炎・死亡例が報告されていることを記載した。また「重大な副作用」でも、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪について、従来の肝機能障害の項目から独立させて記載した。
なお同製品は、昨年11月から1年間に1万6000人の患者に使用されたと推定され、推定販売額は270億円である。