2010年度の薬学部入学者数は、3年連続して総定員数に届かなかった。本紙調査で明らかになった。東京大学を除く73校の総定員数は1万3078人で、入学者数は1万2668人。定員充足率(定員に対する入学者の割合)は平均0・97、“定員割れ”した大学は、昨年度より1校減少したものの、全体の約3割に相当する22校となった。一方、14校で定員を1割以上オーバー、引き続き大学による明暗が分かれる結果となった。また、昨年度からの「定員削減」の動きは今年度も続き、総定員数は185人減少した。旧設校の定員枠拡大、その後の新設ラッシュで増加の一途だった“薬学生”は、定員割れを背景に、減少の方向にあるようだ。
全国の薬系大学の定員数は1万3158人。新設ラッシュの最後となった2008年度に、一部4年制の増員などもあり、総定員数は1万3494人に達したが、その後減少を続けている。昨年度は前年度より150人減の1万3344人、今年度は4校が定員を削減し、1校が定員増を行い、差し引き、185人の定員削減となった。00年度から続いた既設校による定員枠拡大、これと並行して03年度から始まった薬系大学新設ラッシュによって膨張した“薬学生”数は、次第に縮小しつつある。
今年度定員を削減したのは、東北薬科大学、千葉科学大学、昭和大学、九州保健福祉大学の4校。増やしたのは北里大学。
その結果、東京大学を除いた総定員数1万3078人に対し、入学者数は1万2668人で、定員充足率は昨年度と同じ0・97となった。
ただし、大学による充足率の差は大きく、1・0を下回る“定員割れ”が22校あった。このうちほぼ誤差範囲といえる0・9台を除いても、16校が実質的な定員割れとなった。具体的には、0・7台未満が11校に、0・6台未満が8校、0・5を割り込んだ大学も3校あった。
最も充足率が低かったのは北陸大学の0・39で、定員306人に対し118人(昨年度146人)と、入学者数を減らし続けている。次いで福山大学0・44(定員200人、入学107人)、城西国際大学0・46(180人、82人)、姫路獨協大学0・50(120人、60人)、松山大学0・52(160人、83人)、いわき明星大学0・52(150人、73人)、安田女子大学0・54(130人、70人)、徳島文理大学香川薬学部0・56(120人、67人)、青森大学0・59(90人、53人)など。これら大学の多くが、昨年度の入学者数を下回り、厳しい状況が続いている。
特に東北地方と激戦区の千葉県、さらには中四国地方で比較的大きく定員割れをしている。地域的に昨年度とほぼ同じ傾向であり、いわゆる新設校に定員割れが目立つ傾向が見受けられる。
14校が定員を超過
一方、定員充足率が1・10以上となったのは14校(前年度18校)だった。1・15を超えたのは立命館大学1・42(100人、142人)、国際医療福祉大学1・24(180人、223人)、東京理科大学1・24(180人、223人)、同志社女子大学1・24(120人、149人)、北海道医療大学1・21(150人、182人)、名古屋市立大学1・21(100人、121人)となっている。このほか、充足率が1・10をオーバーした各校では、多くが昨年度もやや多めに入学している。