英調査会社のデータモニターは、新薬の特許切れによる売上減の影響が、2014年までに1100億ドル(約10兆円)に上るとの分析結果を発表した。こうした膨大な売上減に加え、規制当局の圧力や薬価引き下げなどに直面すると指摘。「製薬企業が収益を伸ばすには、成長可能性のある新興市場、生物製剤に参入すると同時に、コスト削減の必要性に迫られる」と見通した。
同社は、製薬上位50社の米国売上高について、14年までの平均成長率をマイナス1・3%と予想。2280億ドル(約21・3兆円)から2140億ドル(約20兆円)に減少するとした。一方、米国以外の主要市場は、年平均成長率でプラス2・4%の上昇が見込まれると予測している。
特に、注目される新興市場は、年平均成長率12%の大幅な伸びを示すと予想。現在グローバル製薬企業は、GE薬・製造メーカーを買収し、急ピッチで新興市場への参入戦略を展開しているが、同社は「新興市場がもたらす成長潜在力、販売機会を十分に利用していない」と厳しい見方を示した。
また、生物製剤に関しては、「アンメットニーズを満たしている、高価格である、市場参入が最近であることを考えると、今後も生物製剤が躍進する」と見通し、特に二次医療で使用される注射剤形式の生物製剤の売上が伸びるとした。特許切れを迎えた生物製剤については、「いまは市場参入の壁が高いため、売上高の低下を免れている」と分析している。
これらの状況から、同社は「10~14年にかけて売り出される新薬の売上は、今後数年間の特許切れによる売上減少分を埋め合わせるだけ」と指摘。「10年以降も利益を増加させるには、コスト削減が引き続き中心課題となる」と予測している。