英市場調査会社のデータモニターは、大型製品の特許切れを迎える製薬企業間で、導入契約をめぐる競争が激化するとの予測を発表した。短中期的な解決策となる後期開発品の獲得を狙い、製薬企業がひしめき合うことが予想されるため、買収価格の上昇は避けられないと見通した。
昨年、製薬企業上位10社が締結した導入契約数は、2008年比12%増となったが、同社は「大規模なコスト削減と研究開発事業の再編が行われている中、開発パイプラインの立て直しに懸命な製薬企業によって、今後も導入契約数は増え続ける」と予測した。
こうした活発な導入活動は、自社の大規模な研究開発ではなく、買収・導入によって高いコスト効率を求める積極的な姿勢と見られているが、同社は「特許切れの短中期的な解決策となる後期開発品を確保するため、導入契約をめぐる製薬企業の競合が激化し、買収価格の上昇は避けられない」と分析した。
その上で、「最良の契約条件を獲得するためには、ますます企業努力と順応性が要求される」と指摘。「製薬企業とビジネスパートナーの関係が流動化し、従来の導入契約がオプション契約やバックエンド取引に変わっていくだろう」と見通している。
一方、08~09年に導入契約を締結した製薬企業の57%が早期開発段階の品目を選択していたが、同社は「導入する側の製薬企業は、商業的な魅力に乏しい後期開発品か、開発早期のライセンス契約かの選択を迫られる」と分析している。
さらに同社は、今後は導出契約も増加していくと予想している。