健康保険組合連合会の推計から、2010年度における健保組合全体の経常収支は6605億円の赤字で、過去最悪になる見込みにあることが分かった。賃金水準の低下による保険料収入の落ち込みが最大の要因で、後期高齢者や退職者制度の支援金・拠出金負担の精算による支出減を、収入減が大きく上回った。
健保連が、10年度予算データの報告があった1313組合の数値を、全1462組合ベースに調整したところ、全体の4分の1程度の組合で保険料率を引き上げるなどの対応をとったものの、保険料収入が09年度予算から1・4%減少し、収入合計は6兆1581億円で2・2%縮小する。
支出は、高齢者等への納付金・拠出金が5・3%減少して2兆6224億円となった一方、保険給付費が3兆5903億円で2・0%円膨らみ、合計6兆8186億円で1・43%の減少にとどまった。そのため、赤字額は09年度比で398億円拡大することとなった。
今国会では、これまで加入者数に応じて配分していた被用者保険内の後期高齢者支援金の負担の一部に、総報酬に応じた仕組みを導入する法改正が審議されている。協会けんぽに比べて報酬水準が高い組合が多いため、改正が成立すれば、組合全体としての支援金負担は、今回の推計から330億円程度上乗せされる見通しで、財政悪化はさらに進行すると見られる。
なお、予算データの報告組合のうち、赤字は1295組合で09年度から57組合減少したが、全体に占める赤字組合の比率は88・6%と依然として高い。また、4月1日付で解散した組合も出ており、組合数そのものも減少を続けている。