
省内事業仕分け
厚生労働省は12日、省内事業仕分けとして、同省所管の独立行政法人や公益法人の事務・事業の無駄排除に向けた議論を、他府省に先がけてスタートさせた。冒頭、長妻昭厚労相は、「この仕組みを一時的なものではなく、10年後も役所業務の一環として、事業を見直す仕組みとなるよう埋め込めればありがたい」とあいさつ。さらに、“省内事業仕分け8原則”を示して独自性をアピールした。
厚労相の省内仕分けには、大学、病院、シンクタンクなどの関係者や、弁護士、会計士、自治体首長ら民間有識者のほか、公募による厚労行政モニターが参加する。行政刷新会議と同様に、議事のカメラ撮影が全て可能なフルオープンで行われ、「廃止」「移管」「見直し」といった評決は、基本的に刷新会議の方式に沿っている。作業は概算要求までに終える予定で、初日は、雇用・能力開発機構と社会保険診療報酬支払基金の2法人が対象になった。
作業開始に当たって長妻厚労相は、「試行錯誤があるかもしれない」としながらも、省内仕分けの恒常化を図りたい意向を表明。民間仕分け人に対しては、「最終的な判断は、政務三役としてやらせていただくということで、この場で私どもの判断は示さない。われわれの気づかない点を厳しくご指導いただきたい」と期待を寄せた。
また、「省内事業仕分けを通じ、事業を国民に分かりやすくプレゼンテーションする能力も高めてもいたい」と、厚労省側の説明者や法人の担当者に要請した。さらに、「税金や保険料が、1円単位できちっと社会保障サービスや雇用政策に結びついているという確信を、国民に持っていただくことが必要」との考えを示した。「厚労省は、大変大きな予算を持っている。無駄がなくなったという信頼に達することが、厚労行政にとって最大の課題の一つ」と強調した。
仕分け8原則の要旨
[1]行政刷新会議の事業仕分け対策としてではなく、厚労省が自ら改革を実施するために行う[2]今年限りでなく恒常的な事業として位置づける[3]厚労省の事務・事業や所管法人の事業等のあり方を公開かつ外部の視点を入れて議論[4]最終的な改革案は政務三役で決定し、仕分け作業の場では最終的な判断を下さない[5]事前調査の結果や論点等を示して活発に議論[6]最後に仕分け人として外部の民間有識者から「廃止」「移管」「見直し」といった見解を明示[7]国民から傍聴者を募り公開の場で議論[8]メディアにもフルオープン。