厚生労働省は、抗うつ薬開発における臨床試験の計画、実施、評価等の標準的方法と手順を示すガイドラインを作成する。9日からホームページ上で「抗うつ薬の臨床評価方法に関するガイドライン(案)」を公表し、1カ月間のパブリックコメント募集を開始した。
うつ病の生涯有病率は10%超と推定されるほど高い。原因や病態は明らかになりつつあるものの、未だ十分に解明されたとはいえないのが現状だ。そのため、ガイドライン案では、研究の進展に応じて内容を改訂するほか、合理的な根拠があれば、必ずしもガイドラインに固執せず、柔軟に対応すべきとの考え方を示している。
臨床試験のデザインに関する基本的な考え方については、抗うつ薬の場合、実薬対照非劣性試験や同等性試験により、治験薬の有効用量を検討し、有効性を検証することには限界があるとし、「抗うつ薬の有効性および安全性の検討には、プラセボ対照二重盲検比較試験が必要である」と定めた。
また、急性期のうつ病患者に、プラセボを長期間投与することは倫理的に問題があるため、「臨床試験は投与期間を限定して行う」とし、試験期間中に病状が悪化した場合の対応を、計画段階で検討するよう求めている。探索的試験や検証的試験の投与期間は「6~8週間」が一般的とし、これを超える場合には、「臨床的意義を考慮して試験成績を踏まえた根拠が必要」とし、逆に、投与期間を6週未満に短縮することについては、「安全性評価が十分に行えない可能性があるため適切ではない」と指摘している。
さらに、うつ病患者を対象とした臨床試験では、プラセボの反応性が高いことに留意するよう求め、臨床試験の計画段階で、プラセボ反応性が高い患者集団を除外することを対応策として挙げている。