厚生労働省医薬食品局総務課は18日、2007年度から都道府県への届出が義務化される薬局の機能情報28項目に関して、薬事法施行規則一部改正案のパブリックコメントを開始した。項目は10月末に開かれた「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」で審議された内容(表[PDF])。年1回以上の報告や、薬局での患者へ閲覧方法としてパソコン等でも可能とすることに加え、経過措置なども盛り込まれている。意見の提出期限は来年1月19日。
改正医療法では、患者の適切な医療機関選択を支援するため、医療機関の機能等に関する情報を、都道府県を通じて患者に提供する制度が、07年度からスタートする。
医療提供施設となった薬局においても、改正薬事法により医療機関と同様の仕組みが設けられた。薬局開設者に対し、薬局機能に関する情報を都道府県へ報告することを義務づけ、その情報を都道府県が住民・患者に提供する体制を敷き、住民の薬局選択を支援しようというものだ。
改正案では、薬局開設者が都道府県が定める方法に従い、これらの情報を年1回以上報告することを求めている。また、▽薬局の名称▽薬局開設者▽薬局の管理者▽薬局の所在地▽電話番号・ファクシミリ番号▽開局日▽開局時間””の項目は「基本情報」として位置付けられ、変更が生じた場合には速やかに報告しなければならない。
さらに薬局開設者は書面閲覧の形で、薬局機能情報を薬局内に公表しなければならないが、それに代わる方法として、医療を受ける者の承諾が得られれば、電子媒体(画面上での表示、Eメール、インターネット、CD”ROM等)による情報提供も可能としている。
都道府県による薬局機能情報の住民・患者への公表方法としては、書面による閲覧や電子媒体に記録された情報内容を紙面・画面上に表示することに加え、住民・患者が必要な情報を入手し、多施設を比較できるようにするため、インターネットを利用して、容易に検索できるシステムとするよう求めている。
報告制度は来年4月1日から施行されるが、経過措置として07年度の公表情報は、薬局名などの「基本情報」だけでよく、検索機能を持ったインターネット公表については、08年度中に各都道府県で整備することにしている。
◇遅い薬局側の対応‐研修認定、未だに2割
一方、日本薬剤師会は薬局機能評価制度の実施に向けて、導入整備事業を進めており、05年度には1万軒を超える薬局が、機能評価項目案に基づいた自主点検を行った。機能公表制度で挙げられた28項目の中には、機能評価の自主点検と重複している事項もあり、その比較によって、情報開示される項目が薬局でどの程度実施されているかが推定できる。
地域医療の中で薬局が果たさなければならない主な役割について、両者を比較してみると、まず時間外の対応で整備できていないとした割合は、休日が23.4%、夜間が26.6%であった。具体的な対応の仕方では、電話番号の掲示、転送電話、インターホンなどが多い。
研修認定薬剤師の取得率は、管理薬剤師が21.4%で4分の3は未取得。勤務薬剤師の場合は、半数以上が取得している薬局が12.3%、半数以下が12.0%で、取得者のいない薬局が半数を超えている。
薬局業務の内容をみると、[1]無菌調剤の設備ありは1.9%[2]矯味・矯臭の工夫や一包化等を行っているが67.7%[3]麻薬小売業者の免許ありが70.7%[4]在宅調剤の実績ありが20.7%[5]お薬手帳に記入しているが87.7%――である。項目によってバラツキはあるものの、まだ対応が不十分で、整備が必要な項目は少なくない。