厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会は15日、医療保険者の健診・保健指導の義務化に合わせ、「健康診査の実施等に関する指針」改正案を概ね了承した。改正指針は、健診・保健指導の目的や精度管理の方法、健診結果の保存などに関する事項を新たに盛り込むとしている。今後は来年3月の告示に向けた準備作業に入る予定だ。
今回の「健康診査の実施等に関する指針」改正は、6月に成立した改正医療法等の医療制度改革で、2008年度から医療保険者に対して、40075歳未満の被保険者への健診・保健指導の実施が義務づけられることを受けたもの。また厚労省検討会で、効果的・効率的な健診・保健活動を実施するために必要な事項を検討していたが、各健康増進事業実施者(保険者、事業者、市町村、学校等)に共通する事項については、指針を改正することとされていた。
改正指針は、[1]壮年期における健診・保健指導の目的[2]精度管理の内容について具体的な方法等[3]健診結果を標準的なデータ形式により保存すること””を追加したのが特徴。施行日は08年4月1日。
具体的にみると、健診・保健指導の目的に関しては、既に複数の健康増進事業実施者が、壮年期の心血管疾患発症予防のための健診等を実施している状況を踏まえ、予防概念には“発症予防”と“重症化予防”の2段階があることを明確化した。さらに、健診結果により栄養指導や保健指導を実施することを明記した。
精度管理の方法等の面からは、健診における検査結果の正確性を確保するために、健診を実施する際の内部精度管理として標準物質を用いることを追加すると共に、外部精度管理調査では、健診により示された検査値の精度等が、▽全国規模の調査を定期的に受けている▽複数の調査を受けている””などにより、保証されたものであることを求める。
健診データの保存に関しては、医療保険者間の異動があった場合や、事業者健診データを医療保険者に送付する場合の、データのやりとりを容易にするため、健康増進事業実施者は標準的電磁的記録形式によりデータを提出すること、また、健診を委託した場合にも、標準的電磁的記録形式により提出してもらえるように働きかけることなどを追加した。