岐阜県健康福祉部薬務水道課は26日、大洋薬品工業(名古屋市)の高山工場(岐阜県高山市)に対し、薬事法(第56条第2号:承認と異なる医薬品の製造)に基づく医薬品製造業の業務停止命令を出した。期間は同日から4月3日までの9日間。
今回の事態は、高山工場が昨年2月13日に製造、販売した製品「ガスポートD錠20mg」の2ロットの有効成分含量が、承認規格外のまま逸脱が判明することなく、昨年4月から9月にかけて市場へ出荷されていたもの。
薬務水道課によると、承認規格外製品が製造された原因は、混合行程で2ロット間で有効成分を含有する造粒品の一部と、その他成分の造粒品の一部を取り違えたことによるものという。通常、承認規格からの逸脱は、保存品の品質試験で明らかになるが、出荷判定時試験時には、他のロットのサンプルが意図的に品質部門に提出され、試験が行われたため、市場に出荷されたという。該当する2ロットについては、自主回収が終了し、これまでのところ健康被害の発生は報告されていない。
また、行政処分を受けた大洋薬品は26日付で、「今回の事実を厳粛に受けとめ、深く反省すると共に、今後、係る事故の起こらぬよう、全社を挙げて製造管理体制の強化や内部管理体制の徹底を着実に実施していく所存」との、謝罪コメントを発表。今回の件を踏まえ、昨年11月から外部識者6人を高山工場に迎え、GMP運営の確認、改善のためのプロジェクトを開始した。製造関係や品質保証・品質管理、設備関係、製造現場におけるコミュニケーション等を見直し、来年度末に進捗状況を総括する予定。また、製造部門、品質保証部門では、チェック体制の強化やサンプリング体制の徹底等の施策など、ヒューマンエラーを防ぐための取組を開始しているという。
JGAも大洋薬品工業の会員「資格停止」
一方、ジェネリック薬メーカー団体の日本ジェネリック製薬協会(JGA)は29日、行政処分内容が確定したことを受け、大洋薬品工業に対し、3月29日から1年間の「資格停止」処分とすることを決定した。資格停止は除名に次ぎ、2番目に重い処分。大洋薬品は1995年5月、去痰剤に別の錠剤が混入していた件で、JGAから1年間の活動停止処分を受けている。
同社は、今後1年間、JGAでの議決権、理事資格、各委員会への参画が停止になる。ただ、事務局からの情報提供については、従来と同様に受けられる。
JGAの長野健一理事長は、「除名せずに資格停止処分にとどめ、協会内で改善を図るのが適当だと判断した」と今回の措置を説明。今後、同社に対し、定期的に改善状況に関する報告書の提出を求め、再発防止に取り組む方針を示した。