厚生労働省は、新たな薬価基準を5日に告示。4月1日から実施する。告示数は1万5455品目で、このうち624品目が新薬創出・適応外薬解消等加算に該当し、303品目が薬価維持を実現する。一方、過去の後発品置き換え不足を精算するため、薬剤費の約36%を占める長期収載品1472品目について、2・2%の追加引き下げを行う。また、小児・希少疾病の適応拡大や、市販後に新たな臨床的有用性が明らかになった既収載品を評価する特例が初めて実施され、16品目に補正加算が付いた。
収載品目の約9割が引き下げ
今回の改定で薬価が下がるのは1万3514品目で、据え置きが1895品目、引き上げが46品目。平均改定率は、薬価ベースでマイナス5・75%(医療費ベースマイナス1・23%)となる。
新薬創出加算については、▽後発品が未収載▽薬価差が平均の約8・4%を下回る▽再算定に未該当‐‐の要件を、後発品のない先発品の約33%を占める337成分が満たした。
このうち、遺伝子組み換えトシリズマブ(銘柄名:アクテムラ)と遺伝子組み換えエタネルセプト(エンブレル)の2成分は、小児適応加算にも該当する。製薬業界が見込んだ通り、降圧剤など競合が激しい領域の薬剤は外れた。また、武田薬品の大型品でインスリン非依存型糖尿病治療薬のピオグリタゾン塩酸塩(アクトス)が落ちた。
加算率の相加平均は約4・2%(加重平均は約4・9%)で、最高が5・1%だった。加算対象となったにもかかわらず、基準価格と実勢価格の乖離が小さいことや、トシリズマブのように、小児適応加算で現行薬価を超えることを理由に、ゼロ加算となるケースも出た。
後発品のある長期収載先発品の追加引き下げには、513成分が該当。市場実勢価格に基づく長期収載品の平均下落率は6・3%であるため、追加分を上乗せすると、薬価は平均8・5%落ち込む。さらに、後発品が初めて薬価収載された先発品42成分については、従来通り4~6%の特例引き下げを行う(局方品は例外的に3%)
また、市場拡大再算定を実施するのは、1月29日の中央社会保険医療協議会の決定通り、ピオグリタゾン塩酸塩、イマチニブメシル酸塩、ニロチニブ塩酸塩水和物、ダサチニブ水和物、トラスツズマブ(遺伝子組み換え)の5成分・8品目で、引き下げ率は12~18%。
一方、特例加算で薬価を底上げするのは、小児適応の効能追加によるものが、トシリズマブとエタネルセプトに、セチリジン塩酸塩(ジルテック)を加えた3成分・7品目。希少疾病の効能追加によるものが、リセドロン酸ナトリウム水和物(アクトネル、ベネット)、アルガトロバン水和物(スロンノン、ノバスタン)、注射用胎児性性腺刺激ホルモン(ゴナトロピン)の3成分・5品目。市販後に有用性が認められたものが、テガフール・ウラシル(ユーエフティ)の1成分・4品目となっている。
このほか、不採算品再算定では、フェニトイン、注射用水、消毒用エタノール、ゼノンコールド、ソフラチュールなど20成分・38品目の薬価を引き上げる。