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新規糖尿病治療薬「DPPIV阻害剤」‐熾烈な開発競争

2006年12月14日 (木)

 副作用が少ない新規糖尿病治療薬として期待されているジペプチジル・ペプチダーゼ(DPP)IV阻害剤の国内開発が本格化し、製薬各社はしのぎを削っている。海外で開発を先行させていたキョーリンと田辺製薬がそれぞれ国内で臨床入りさせた。既に、武田薬品や三菱ウェルファーマ、ノバルティスファーマなどが開発を進めており、今後、国内でのDPPIV阻害剤の開発競争が激化するものとみられる。

 DPPIV阻害剤は、インスリンの分泌を促すホルモンの一種であるグルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)を分解するDPPIV酵素を阻害することで、インスリン分泌を増やし、血糖値を下げる。GLP‐1には胃排泄能低下作用もあり、GLP‐1の分解を抑制することで血糖上昇が穏やかになる可能性も指摘されている。そのため、従来の糖尿病治療剤に比べ、低血糖などの副作用の発現が少ないとして期待が高い。

 今回国内臨床入りしたのは、田辺は「TA”6666」、キョーリンは「KRP”104」。キョーリンは7月に臨床入り、田辺は臨床入りの時期については明らかにしていない。両社とも、糖尿病を含む代謝性疾患領域を重点領域の一つと位置づけており、開発を加速している。

 既に国内では、米メルク子会社の万有製薬と小野薬品(PIII)、ノバルティスファーマ(PIII)、グラクソ・スミスクライン(PII)、三菱ウェルファーマ(PII)、武田薬品(PI)、大正製薬(PI)、三和化学研究所(PI)などがDPPIV製剤の開発に取り組んでおり、外資系製薬企業が一歩先んじている。

 一方、海外ではメルクが開発を進めてきたシタグリプチンがFDAから承認を取得した。シタグリプチンは、膵臓のα細胞とβ細胞に作用することによって、血糖値のコントロールに関与するインクレチンシステムを増強する。そのため、膵β細胞の機能不全によるインスリン減少や、膵α細胞やβ細胞の機能不全による肝臓でのグルコース産生の異常によって血糖が上昇しているケースなどがよい適応となる。

 2型糖尿病患者を対象とした海外の臨床試験結果によると、スルホニル尿素薬と同等の効果が認められ、副作用発現率はプラセボ群と同様であったという。副作用は、鼻づまり、のどの痛み、上気道感染、頭痛などが報告されている。

 海外ではそのほか、スイスのノバルティス(承認申請中)、英GSK(PIII)、武田(PIII)、田辺(PII)、大正(PI)、キョーリン(PI)などが開発を進めている。内資系企業もレイトフェーズに進んでいるため、今後、海外での早期の申請、上市が期待される。



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