厚生労働省の特定疾患対策懇談会(座長:金澤一郎国立精神・神経センター総長)は11日、治療費公費負担となっている特定疾患の中で、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の対象患者として、軽症者を除外する方針を決めた。両疾患とも、患者数が5万人を大幅に超えたことによるもので、今回の措置が実施されれば、パーキンソン病で51%、潰瘍性大腸炎で66%の患者が公費負担を受けれなくなる。厚労省はこの結果を踏まえ、早ければ来年10月にも対象疾患を見直すとしている。
特定疾患治療研究事業では現在、45の特定疾患の患者に対し、医療費の公的助成が行われている。懇談会ではこの内、対象患者数8万0311人の潰瘍性大腸炎、7万2772人のパーキンソン病について「希少性の条件である5万人を超え、他の難病との公平性を欠く」として、患者団体のヒアリングを行うなど、対象患者の見直し作業を進めていた。
見直しは、潰瘍性大腸炎は重症・中等症・軽症、パーキンソン病は重症度005度及び生活機能障害度103度に分け、患者の生活状況や他の公的補助なども踏まえた検討が行われた。
今回の会合では、対象患者範囲を潰瘍性大腸炎は軽症(排便回数4回以上など)を外して中等症以上とし、パーキンソン病はHoehn&Yahr重症度3度以上から4度以上と条件を引き上げることにした。
委員からは「潰瘍性大腸炎は医療の進歩で軽症にとどまる人が増えている」「他の認定されていない疾患で、重症で研究対象とすべきものがある」等の発言があった。一方で、「パーキンソン病の3度は生活上の困難や、高額な薬価などの問題がある」と慎重を期す意見も出された。
会合を傍聴していた患者団体は、「最初に結論ありきの議論だ」と強く怒りを表し、政府与党などへ見直し中止を求めて働きかけていくことを明らかにした。
◇経過措置などを要望‐自民党
厚労省の方針を受け自民党は、12日に開いた厚生労働部会で審議、出席した議員からは懸念や異論が続出。対象疾患患者の声を生で聞いた上での対応を求める意見が相次いだという。
また同部会では、今回の措置で対象外となる患者について、生活実態等に配慮し、低所得者(所得税非課税世帯)は今後5年間の経過措置を講じることや、難病対策充実の面から、新たに難治性疾患克服研究事業の対象とすること、再び特定疾患治療研究事業の対象とすることなどを求めていくことで合意した。近く、柳澤伯夫厚労相や党三役に要望するという。