第一三共は26日、4月1日付で新会社「第一三共エスファ」を設立し、日本で後発品事業に参入すると発表した。新会社は、従業員20人体制でスタートする予定。新薬で培ってきた第一三共ブランドを前面に打ち出し、今秋には国内でジェネリック医薬品(GE薬)を売り出す。08年にインドGE薬大手のランバクシーを買収し、新興国とGE薬へのリーチを拡大してきた第一三共は、国内でもGE薬を販売することで、「複眼経営」をさらに推し進める方針だ。
新たに設立する第一三共エスファは、ランバクシーのノウハウ、コスト競争力と共に、新薬で培ってきた第一三共ブランドを生かし、GE薬と第一三共の長期収載品の一部を販売する予定。取り扱うGE薬の領域、品目数は未定だが、ランバクシーの製品を導入する可能性もある。今秋には、国内でGE薬の販売を開始する予定にしており、4月の業務開始後、従業員20人体制で準備に当たる。
第一三共は、GE薬メーカーのランバクシー買収によって、先進国と新興国、新薬と後発薬を視野に入れたハイブリッド型の「複眼経営」を打ち出し、グローバル展開を加速させてきた。既に、新興国+新薬の枠組みで、メキシコやアフリカで自社新薬の販売を開始するなど、グローバルリーチを拡大。さらに今回、先進国+GE薬という新たな枠組みによって、日本のGE薬市場に参入することで、複眼経営を一層推し進めることになった。
ただ、昨年、日本ケミファとの提携関係を解消したランバクシーの活用ではなく、新会社の設立という選択をしたのは、第一三共ブランドを活用したGE薬事業の展開が視野にある。日本では、長く新薬の販売で知名度が浸透していることを踏まえ、国内でGE薬を効果的に販売するためには、新薬は第一三共、GE薬は子会社の第一三共エスファが担うことが最善と判断した。
国内GE薬市場は、米ファイザー、富士フイルムが参入するなど、一気に激戦模様となっている。4月の診療報酬改定で、さらにGE薬の使用促進策が打ち出される中、国内製薬大手の第一三共が新薬のブランドを前面に打ち出し、GE薬市場に参入を果たすことは、専業GEメーカーのみならず、GE薬を強化する新薬メーカーにも大きな脅威となる。特に規模の小さい専業GEメーカーには、一層の再編を促す圧力となりそうだ。