厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が8日、初会合を開き、欧米で承認されている未承認薬・適応外薬の国内導入に向けた検討を開始した。まずは、学会や患者団体らから要望が出ている医薬品について、専門作業班(WG)で医療上の必要性を具体的に評価した上で、3月末の次回会合で、開発すべき医薬品を選定し、企業に開発を要請する。作業の進捗次第では4月にずれ込む可能性もある。
会議として開発が必要と判断した場合、半年以内に公知申請するか、1年以内に治験に着手しなければ、その企業が抱える全ての新薬に、2012年度薬価改定で新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適用されない。さらに、業界全体として開発が進まなければ、同加算の存続にも影響を及ぼす。そのため、中央社会保険医療協議会で2012年度改定の議論が始まる11年秋頃までに、一定の成果が報告できるよう、作業を急ぐことになった。
初会合では、国立病院機構名古屋医療センターの堀田知光院長を座長に選任し、7WGの設置など今後の進め方を確認した。WGは、医薬品医療機器総合機構の審査部署と対応する、▽代謝・その他▽循環器▽精神・神経▽抗菌・抗炎症▽抗癌▽生物‐‐に、分野横断的な対応を行う「小児」を加えた7班。また、学会等から376件の要望が提出されたが、2件は昨年承認されたため、候補は合計374件(未承認薬89件、適応外薬285件)となる。米英独仏のいずれかで承認されていることを前提条件に、適応疾患の重篤性や医療上の有用性の観点から、対象を絞り込む。
要請を受けた企業は4月末をメドに、開発工程表を作成すると共に、公知申請の該当性や追加試験に関する見解を会議に提出。会議側は、WGで技術的な検討を行い、6月末以降に予定する第3回会合で評価結果を提示する。これを踏まえて企業が公知申請や追加試験を実施し、その後も会議で定期的に開発状況を確認する。
なお、次回会合で開発対象となった品目に、国内で該当企業がない場合には、会議で公知申請や申請に必要な試験等のレポートを作成し、開発企業を募集する。