文部科学省は、2005年度「民間企業の研究活動に関する調査報告」を公表した。05年度は研究開発費は引き続き増加傾向を示し、06年度に増額予定の企業は前年度よりも5ポイント多くなった。また、企業の半数以上が技術・ノウハウ等の継承問題(いわゆる2007年問題)について危機意識を持っており、医薬品工業では6割を超えていた。
この調査は、資本金10億円以上で、研究開発活動を実施している民間企業1851社を対象に、今年203月にかけて実施された。有効回答857社(製造業685社、非製造業172社:有効回答率46.3%)をもとに分析した。
研究開発費については、社内(設備投資込み)研究開発費で前年より増額を予定している企業が06年度は39.2%で、前年度の34.2%と比べて5ポイントの増加となった。減額を予定している企業は9.7%で、前年度に比べて0.3ポイントの微増となった。業種別で増額予定の割合が最も高かったのは、製造業では「油脂・塗料工業」の66.7%で、「医薬品工業」は46.7%だった。
外部支出研究開発費に関しても増額予定は、06年度で26.6%となり3年続けての増加となった。減額見込みは、8.0%で前年度に比べて増加(2.5ポイント)した。業種別にみると製造業では「電子応用・電子計測器工業」の50.0%が最も高く、二番目が「医薬品工業」の46.7%だった。
また、国内外の大学、公的機関、企業等との研究協力の有無では、86.8%の企業がこの5年間に外部他機関との研究協力を行っていた。資本金が大きくなるほど研究協力を行った企業の割合は高くなり、「資本金500億円以上」の企業では100%だった。医薬品工業でも90.0%の企業が研究開発協力を行っていた。
研究協力の相手先機関では、「国内の大学」が72.6%でもっと高く、次いで「国内の企業」の62.3%となっており、企業同士の連携よりも産学連携が進んでいることがうかがえる。
◇07年問題で6割が危機感
団塊の世代の定年・退職に伴う“07年問題”が話題となっている中で、今回は研究開発に係る技術・ノウハウ等の継承の問題についての危機意識等に関しても調査した。「危機意識を持っている」企業は53.6%で半数を超えていた。医薬品工業では、「危機意識を持っている」企業が6割を超え、63.3%に達し、「危機意識を持っていない」企業33.3%の倍近くとなっていた。危機意識を持つ要因に関しては、「研究開発現場における、技術・ノウハウ等の継承に時間がかかり円滑に進まない」が61.9%で最も多い。
危機意識を持っている企業の対策としては、「教育の充実により、若手・中堅層に対する継承を実施」が48.3%で最も多く、次いで、「必要な人材を選抜して雇用延長や再雇用を行う」(42.4%)だった。医薬品工業では、「必要な人材を選抜して雇用延長や再雇用を行う」との回答が57.9%で最も多い。