厚生労働省は、塩野義製薬のインフルエンザ治療薬「ラピアクタ」(成分名:ペラミビル水和物)を薬価基準に緊急収載する。薬価は点滴用バイアル150mgが3117円、同バッグ300mgが5792円。原価計算方式で算定し、加算として営業利益率に20%を上乗せした。
ラピアクタは、タミフル、リレンザに続く3番目の抗インフルエンザウイルス薬で、約15分の点滴静注1回で十分な効果が得られる。A型・B型インフルエンザウイルス感染症が適応で、タミフル耐性例にも効果が得られている。
ラピアクタは米国BioCryst社からの導入品だが、日本人で1000例近い治験を実施し、世界に先駆けて開発した準国産の新薬。
薬価算定でも、こうした点を踏まえて加算を適用したが、作用機序が既存薬と同じノイラミニダーゼ阻害作用のため、限定的な評価となった。標準使用の300mg単回投与の場合、タミフル1日2カプセル5日間投与の1・8倍程度となる。
小児用の適応はないものの、現在実施中の治験データに基づいて、慎重投与するよう添付文書で求める。
薬価収載を承認した20日の中央社会保険医療協議会では、臨床現場での適正使用を求める意見が出た。
市場予測規模は初年度が10・8万人、9・9億円で、ピーク時の2年度目が67・4万人、40・6億円。なお、米国では承認されていないが、治験成績を踏まえて、政府が買い上げて限定的に使用を認める対応が行われている。
また同剤について厚労省は18日付で、全数調査への協力を医療機関に求めるよう、都道府県や関係団体へ要請している。そのほか、承認条件として、[1]製造販売後の一定期間は全使用症例の実態、安全性を情報収集[2]同剤に対する耐性化に関する国内外の調査結果等を当局に随時報告――することも付されている。