「安心と安全を担う薬学:創薬から医療に亘る最前線研究」をテーマに、日本薬学会第130年会が3月28~30の3日間、岡山市の岡山コンベンションセンターをメイン会場に開かれる。総演題数は3912題が予定されており、初めて4000題を突破した前回年会に次ぐ多さとなった。年会では初めての試みとして、「高校生シンポジウム」が企画されており、中国・四国地区の高校生らが、ほぼ1年かけて行った薬学に関連する研究の成果を発表する。
第130年会では、メインテーマに沿って多彩な企画が組まれており、シンポジウムは77題に上る。シンポジウムは例年、60題程度が組まれていたが、準備に当たった土屋友房組織委員長(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授)は、「今年は思い切って増やした」と話す。
その中で注目されるのが、年会初の試みとなる「高校生シンポジウム」。高校生の理科離れ対策や、薬学会の存在を高校生にPRすることを目的としたものだ。中国・四国地区にあるスーパーサイエンスハイスクールの高校生を中心に、1年にわたって薬学に関連する研究課題について取り組んでもらった。その成果が130年会で発表される。
「高校生シンポジウム」は、1校1演題で14題の発表が予定されている。中国・四国地区は9県あるが、「その全ての県において、少なくとも1校は参加していただいた」と土屋氏。当日は、高校生の発表を聞いて、プロの研究者が助言やコメントを発表することになっており、「研究者を目指す高校生の励みになれば」としている。このシンポジウムへの高校生の参加は、もちろん無料で、発表者が所属する高校については、1校当たり数人の旅費も支給される。
また、「薬薬薬連携シンポジウム」も、目玉の一つ。今年度から、病院・薬局での6年制薬学生の長期実務実習がスタートするが、シンポジウムでは薬学教育6年制の意義や取り組み、期待が改めてディスカッションされる。児玉孝日本薬剤師会会長、堀内龍也日本病院薬剤師会会長、藤井基之前参議院議員がシンポジストとして参加し、基調講演も行う。
理事会企画シンポジウムとしては、「薬物乱用防止」がテーマに取り上げられた。麻薬や大麻乱用の低年齢化が社会問題視されていることから、薬学会としての薬物乱用防止の取り組みが紹介される。シンポジストには、地元岡山県薬剤師会の学校薬剤師も含まれており、学生に対する薬物乱用防止啓発活動について報告する。
会場は、岡山コンベンションセンターおよび岡山全日空ホテル・ホテルグランヴィア岡山と、岡山大学津島キャンパス、就実大学、岡山県桃太郎アリーナの四地域に別れている。会場はシャトルバスで結ばれ、「4~5分に1本の割合で頻回に巡回する」ように計画されている。また、昨年に引き続き、学会参加者を対象とした託児室も設置される。