前国会から継続審議となっていた「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)等の一部改正案が、1日の参議院本会議で自民、公明、民主、国民新党などの賛成多数で可決・成立した。研究機関 などの病原体管理の強化が、法的に位置づけられることになった。法律の施行は、一部を除き、公布の日から半年以内。
改正感染症法は、バイオテロや事故による感染症の発生・蔓延の防止を含め、総合的な感染症予防対策推進を図るため、病原体等の管理体制確立を一つの柱としている。また、最新の医学的知見に基づき、入院・検疫等の対象となる感染症分類を見直すほか、結核予防法を廃止し、結核を感染症法の中に取り込んだ。
このうち、病原体等の管理では、病原性・国民の生命・健康に対する影響に応じて、1種病原体等から4種病原体等まで4分類し、レベルに応じて所持や輸入等の禁止、許可、届け出、基準遵守等の規制を設ける。 また、国や地方公共団体が講ずる施策は、国際的動向を踏まえると共に、人権を尊重しながら推進することを明記し、国が病原体等を適正に取り扱う体制確保を含めた基本指針を策定し、都道府県はそれに基づいた予防計画策定、実施状況調査や評価等を行っていくなどの施策も盛り込んだ。
さらに感染症類型の見直しでは、1類感染症に南米出血熱を追加、重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルスに限る)を1類から2類感染症に移行させると共に、新たに結核を2類感染症に追加した。さらに、2類感染症のコレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスを3類感染症に移す。
一方、従来の結核予防法が廃止されることから、定期健康診断、登録票、精密検査、家庭訪問指導、医師の指示(DOTS)など、結核固有の対策については別項を設け、原則として今までの対策を継続実施していく。
参院厚生労働委員会では11月30日に採決、その後、自民、公明、民主などの各会派が共同提案した、▽新型インフルエンザの実効性ある計画策定▽感染症のワクチン、新薬等の研究・開発の国の支援強化に努める▽結核対策の一層の充実▽国際協力の推進””など、17項目の付帯決議を全会一致で可決した。