日本食品化工などコーンスターチ・糖化製品メーカーは、世界的なトウモロコシ等穀物国際相場の高騰による原料調達コスト上昇分を製品価格に転嫁すべく、食品・工業分野では既に値上げ交渉を開始している。日本薬局方ブドウ糖・結晶マルトース・局方コーンスターチなど医薬品向けの製品も例外ではなく、来年1月分より10円/kgの値上げを予定している。穀物の国際相場は現在も高騰し続けており、2007年度米国産トウモロコシの収穫量次第では、さらなる高騰も見込まれ、その場合「企業存続のためには全製品一律で15円/kgアップしなければ凌げない」(日本食品化工)と、近年にない厳しい状況を強く訴え、顧客に対して値上げへの理解を求めている。
医薬用ブドウ糖についてはこれまで、医薬品業界の慣習から4月の薬価改定時に価格交渉が行われてきたが、今回の暴騰はそれを許さないほど緊迫した状況にあるという。日本食品化工では、10月に買いつけた原料で試算し、来年1月からの10円/kg値上げを要請しているが、来年1月以降のトウモロコシの国際相場次第では、4月以降にも第2段の値上げ要請を行わざるを得ない環境下にあるとしている。
米国農務省(USDA)レポートによると、米国産コーンの生産量自体はそれほど落ちていないが、米国内工業用途需要量が急増して、期末在庫率が昨年の18%から8%へと半減。その結果が相場の高騰を招いている。
原因は、重油が高騰し、代替燃料としてバイオエタノールが米国内で大増産されており、その原料としてコーンが使用されているためで、使用量は米国産トウモロコシの輸出量に匹敵するほどになっている。来年もさらなるエタノール需要増が見込まれるため、豊作であってもトウモロコシの高値含みは変わらない。
日本食品化工では、医薬品用ブドウ糖に関しては局方に軸足を置いて事業展開していく方針で、安定供給と企業経営の健全性確保の観点から、今回の値上げに理解を求めている。