藤井裕久財務相と長妻昭厚労相は23日、2010年度診療報酬改定率を合意した。それにより、薬価を1・23%(薬価ベース5・75%)、材料価格を0・13%それぞれ引き下げ、技術料本体を1・55%引き上げて、全体で0・19%増額することとなった。ネットプラス改定は00年度以来10年ぶり。本体部分の配分は医科1・74%増、歯科2・09%増、調剤0・52%増と歯科に手厚い対応を行う。医科については、入院で3・03%増、入院外で0・31%増とすることも決まった。
診療報酬をめぐる財務、厚労大臣折衝は21日に始まり、23日午前には平野博文官房長官を調整役にした三者会談を行い、同日午後の合意に至った。厚労政務三役が要求していた本体1・73%引上げには及ばなかったが、長妻厚労省は合意後の会見で、「配分の見直しをギリギリまで努力することで、当初想定していた施策が打てると考えている」と述べた。
医療費ベースの改定影響は、薬価と材料価格の減額で5000億円を捻出できるものの、本体が5700億円拡大するため、差し引き700億円増加する。真水部分は国費ベースで160億円に相当する。厚労省は、保険料本人負担増を、年収374万円の被用者で年間285円程度と推計している。保険料率にすると0・0015%上昇する。患者負担増は、窓口自己負担3割の場合、外来で月7・8円となる。
薬価改定については、総枠が固まったものの、新薬創出・適応外薬促進加算における薬価維持財源830億円、長期収載品の追加引き下げ効果530億円の差し引き300億円の取り扱いは流動的だ。後発品普及による医療費削減効果も精査しながら、近日中に中央社会保険医療協議会の遠藤久夫会長と厚労省事務局で詰めることになる。保険局の佐藤敏信医療課長によると、加算率や追加引き下げ率の大幅な変更は行わない見通し。
現在想定している2%の追加引き下げ率を拡大すれば、中堅規模以下の製薬メーカーに大打撃を与え、加算率を下げて300億円の差額が縮小すれば、新加算を導入する意味合いが薄まるためだ。