厚生労働省統計情報部は、2005年「医療施設調査・病院報告」の概況をまとめ公表した。調査結果によると、病院数が減少し一般診療所が増加する傾向が続いており、病院数はかろうじて今回9000台を維持したものの、次回の06年調査では9000を割り込む可能性が高まった。病院勤務薬剤師は、年間で800人以上の増加した。また、処方オーダリングシステムを導入している病院が約2割、医療安全管理部門を設置している病院が6割未満という状況も明らかになった。
今回の医療施設調査は、医療施設数、病床数、従事者数といった例年の動態調査項目に加え、3年に1度の静態調査の実施年に当たったことから、医療安全体制、在宅医療サービス、情報化への対応、設備の状況などが、05年10月1日現在で調べられた。
医療施設数は全体で17万3200施設、前年より515施設増加した。病院が9026施設(51減)、一般診療所が9万7422施設(391増)、歯科診療所が6万6732施設(175増)であった。病院数の内訳は一般病院7952施設、精神病院1073施設、結核療養所1施設であり、全体としては90年をピークに減少しているものの、療養病床を有する施設だけは増加している。
一般病院の診療科目をみると、最も多いのは内科の7310施設で、外科5268施設、整形外科5205施設、リハビリテーション科5093施設、消化器(胃腸)科4263施設、循環器科3762施設、放射線科3588施設と続いている。前年との比較ではリハビリテーション科、循環器科、神経内科などが増加し、小児科、外科、産婦人科が減少した。
病院の病床数は80床減の163万1473床で、これも92年をピークに減少を続けている。一般病床は7994床減の90万4199床であったが、療養病床だけは9780床増加し、35万9230床となった。
医療従事者の総数(非常勤含む)は、167万3153人で、前年より1万3527人増加した。薬剤師数(常勤換算)は、病院が4万0120人で前年より837人増え、100床当たりで2・5人となった。一般診療所は6744人、歯科診療所は694人だった。また医師数は、病院が18万0022人、一般診療所が11万3103人となっている。
◇進まない電子カルテ導入
診療等の状況に関する項目をみると、オーダリングシステムを採用している病院は、1986施設で全病院の22%。導入している機能としては、処方が1831施設で20%に上り、そのほか検査が1598施設、予約が1386施設だった。
電子カルテは、医療機関全体として導入している病院が470施設、一部導入している病院が156施設であり、一部導入まで含めても、まだ全病院の7%未満という状況。今後の計画をみても、具体的な導入予定なしが6813施設と4分の3以上を占めている。
病院の医療安全体制では、「安全管理のための委員会」「安全管理のための指針」「安全管理の責任者」「医療事故等の院内報告制度」「安全管理のための職員研修」は、いずれも整備率が95%以上に達している。しかし「安全管理部門」の体制は未だに58%に過ぎず、「患者のための相談窓口」も82%という設置状況である。
在宅医療サービスへの取り組みについて、05年9月の実績をみると、医療保険等による在宅サービスを実施したところは、病院が5928施設(66%)、一般診療所が3万4599施設(36%)、介護保険によるサービスは病院が2460施設(27%)、一般診療所が9504施設(10%)である。なお、薬剤師による介護保険の居宅療養管理指導は、病院の193施設、一般診療所の66施設でしか行われていない。
主な医療機器の設置状況は、MRI5083台、RI診断装置1462台、シングルフォトンエミッションCT1341台、ポジトロンCT279台、スパイラルCT4413台、X線CT4490台、体外衝撃波結石粉砕装置912台、IABP駆動装置1733台、放射線治療装置873台であった。
◇落ち込み大きい病院の外来患者
一方、病院報告によると、1日の平均在院患者数は138万2190人で前年より2656人減、1日平均外来患者数は157万9640人で2万8209人減で、外来患者の落ち込みが大きい。平均在院日数は0・6日短縮し、35・7日だった。一般病床は0・4日減少して19・8日となり、初めて20日を切った。