グラクソ・スミスクライン(GSK)は、22日から国内初の子宮頸癌ワクチン「サーバリックス」を発売し、日本でワクチン事業をスタートさせる。適正使用の観点から、予防ワクチンを十分に理解した医療機関のみに納入する予定で、産婦人科・内科・小児科向けのMR1200人を投入し、情報提供を進める方針だ。9日に都内で記者会見した代表取締役専務の平手晴彦氏は、「1年に1製品は新しいワクチンを投入したい」と表明。「サーバリックスの発売によって、遅れていた日本の予防医療の窓を開けたい」と意気込みを語った。
サーバリックスは、子宮頸癌の約6割に関連するヒトパピローマウイルス(HPV)の16型・18型に似せた粒子を、抗原として含めた2価ワクチン。10歳以上の女性に対し、1回0・5mLを半年間に3回接種することで、子宮頸癌の予防効果が期待できる。
既に世界101カ国で承認され、1100万回以上の接種実績があるが、国内では自由診療扱い。1本1万2000円、3回の接種で3万6000円の全額自己負担となるが、平手氏は「抗体価は約20年持続するため、年換算すると少ない負担で、子宮頸癌を予防できることを考えれば、十分に価値のあるワクチン」と意義を強調。「子宮頸癌がワクチンで予防できる時代に入ったことを喜びたい」と語った。
GSKでは、サーバリックスが国内初の予防ワクチンとなることから、適正使用の徹底と正確な情報提供に取り組む方針だ。平手氏は「日本ではワクチンに対する理解が遅れているため、正しく使っていただくことが大事。メーカーとしても、正確な情報を提供していかなければならない」と述べ、産婦人科・内科・小児科の医師向けにMR1200人を投入し、適正使用を進めていく考えを示した。また、子宮頸癌、予防ワクチンの医療情報サイトやメールマガジンなど、医療従事者向けに情報提供を行うと共に、一般向けウェブサイトの開設、啓発冊子の発行などを通じて、市民への啓発活動を積極的に展開する。
平手氏は、「日本の予防医療に忸怩たる思いを持ち続けてきたが、ようやく予防ワクチンを、日本で初めて発売できる時代になった」と心境を述べた上で、「サーバリックスの発売によって、遅れていた日本の予防医療の窓を開け、エポックメイキングとなった出来事と言われるようにしたい」と、予防医療の変革に向けた意気込みを語った。今後、GSKでは、1年に1製品のワクチン投入を目指し、ワクチン事業を本格的にスタートさせる考えだ。